監督:チェ=ジノ
出演:オ=ジェギョン(ユン=ゲサン)、ペ=ジョンホ(チョ=ジェヒョン)、ウンジュ(チャ=スヨン)、キム刑務官(パク=イナン)、イ死刑囚(キム=ジェゴン)、チャン死刑囚(チョ=ヨンハ)、ほか
韓国、2009年
GYAO!づいておりますが、こんなに無料で映画公開して大丈夫なのかしらん…
12年ぶりに復活した死刑執行を、新人刑務官を通じて描いたドラマ。1時間半のなかに詰め込みすぎの感もありますが、なかなかの力作です。
新人刑務官のオ=ジェギョンは初日から一癖も二癖もある服役者のために苦労するが、先輩刑務官のペの指導を見よう見まねで覚えていく。気も正義感も強いガールフレンドのウンジュも公務員を目指しており、二人の仲はまずまずだった。だが、12人もの連続女性殺人犯チャン=ヨンドゥがジェギョンの働く刑務所に収監され、12年ぶりに死刑執行が再開されることになる。経験者は少なく、「エビ目」と老いた死刑囚イと親しくするキム刑務官しかいないが、死刑を執行される3人囚人のなかにイも含まれており、キム刑務官は頑なにこれを断ろうとする。囚人たちを獣と呼び、正義感をあらわにするペ刑務官は自ら執行役に名乗り出たが、ほかに立候補する者がいなかったため、ジェギョンのほかに2人の刑務官がくじで決まってしまう。埃と蜘蛛の巣で覆われた刑場を掃除し、死刑の手順を確かめる刑務官たち。そんな時、ウンジュが妊娠したとジェギョンに打ち明けたが、死刑執行に気もそぞろなジェギョンは「考える時間がほしい」と答えるのだった。3人の死刑囚にはチャンも含まれていたが、そうと知らないチャンは自殺未遂を犯し、死刑執行のために一日だけ命を長らえさせられる。イ死刑囚と親しくしていたキム刑務官は執行の日に無断欠勤をしようとしたが、その態度から死刑執行を察したイの頼みを聞き、自らの手で執行すべく刑場に現れるのだった。3人の死刑は執行され、ジェギョンたちには特別手当てが出されたが、ジェギョンはウンジュから中絶したことを知らされてしまい、ペ刑務官も精神を病んでしまう。定年間近だったキム刑務官は辞職し、それでも彼らの苦悩をよそに、今日も刑務所での変わらぬ日々が続けられていくのだった。
ちょっと気弱で頼りないジェギョンくんが狂言回しですが、主役はペ刑務官とキム刑務官な感じです。この2人のエピソードが大きく割かれてます。あと3人の死刑を執行したことになってますが、3人目は顔も執行シーンも出ず、それでも後のニュースで、その日、全国で10人もの死刑囚に刑が執行されたことをジェギョンくんは知るのでした。
ペ刑務官は40歳で、同期のジンソクを囚人に殺されたせいか、人一倍囚人たちに厳しく、5人の刑務官のなかでただ一人だけ自主的に執行に名乗り出ましたが、最後は精神を病んでしまいます。むしろ、名前もろくに出なかったと思いますけど残る2人の刑務官とジェギョンくんの3人は刑務所に残り、勤務を続けていますが、この後、どうするのかはわかりません。
キム刑務官は30年も刑務官を務めたベテランで、この刑務所で唯一、死刑執行の経験があった刑務官でしたが、12年も死刑が執行されず、「エビ目」というあだ名の老いた死刑囚(強盗殺人で3人も殺してて、もう20年も収監されてるそうです。ただ、現在はまるで好々爺で、とてもそんな大それた犯罪を犯したようには見えませんし、死刑の間際に映される犯行の様子は泣きじゃくっていて、よほどの事情があってこんな犯罪を犯してしまったのだと思わせる図になっています)とすっかり仲良くなってしまい、将棋を指したり、茹でた芋を差し入れてやったりする仲。うっかり「クリスマスに恩赦があるかも」とか言っちゃったのに、実際はクリスマスに死刑することになって、でもそれは当日まで規則で言えなくて、でもよそよそしい態度で相手に死刑執行だと気づかれちゃって、「執行はあんたに頼みたい」と言われたのに、執行をばっくれようとしたけど、「エビ目」の執行には駆けつけて、震える「エビ目」をなだめてやったり、「友だちだよな」と言われれば「ああ」と答えるなど、人情味に溢れた感じでしたけど、待って待って、30年も務めてて、うち18年は死刑も執行してて、なかには冤罪もいたとか言っちゃって、それなのに最後の最後で逃げ出すんかいと思いましたけど、人間、勝手なもので、「
死刑囚042」でも笹塚さんの台詞でもあった
「加害者にかかわれば また情のようなものが湧く」そのまんまなんだろうなぁと思いました。その同僚だったらしい不動産会社の社長さんが先に罪の意識から逃れるべく刑務官を辞めて、それでも教会に通い、薬を呑まなければ寝ることができない時もあると言ってたのと同じ境遇になったんだなぁと。
ジェギョンくんは最初こそ頼りない奴でしたが、最後、さすがにウンジュちゃんに「死刑執行で3人殺してきた」とは言えなかったんでしょう。その代わりにウンジュちゃんが身ごもった赤ん坊を育てたいと思ったんでしょう。でも、そうとは知らないウンジュちゃんに中絶したことを知らされ、無責任だと責められ、ふられてしまいました。それでも刑務所の勤務を続けていったのは彼なりに考えるところがあったのでしょうか。
ただ、「命令に従っただけなのにどうして」と言っていたので、まだ考えが足りないなぁとも思いました。わしはこの点において死刑執行に反対してます。逆に疑問を抱かなくなったら、人間、行き着くところはアイヒマンに代表されるような凡庸な悪じゃないかと思うのです。
10人もの死刑が執行されたニュースを見る焼き肉屋のアジュマが、「公開処刑にするべき」とか言っていたのは、自分の手を汚さない人間が言うことだけはやたら勇ましいの代表格なんだろうなぁと思いました。たいがいの死刑賛成派の人たちですが。
そういや「
休暇」も同様のスタンスの映画でしたけど、あちらで主人公がやらされたような支え役というのは韓国にはないのでしょうか。
題材だけで見てみたけど、思わぬ拾い物でした。
キャストの経歴とか調べていたら、ペ刑務官役のチョ=ジェヒョンさんは「
詐欺師キム=ソンタル(キム=ソンタル一味ではなくて役人役)」に出てて、連続殺人犯チャン=ヨンドゥ役のチョ=ソンハさんは「
火山高(ラスト、主人公と対決する学園鎮圧教師5人衆の1人)」に出てて、キム刑務官役のパク=イナンさんは「クワイエット・ファミリー(お父さん役)」に出てたし、「エビ目」役のキム=ジェゴンさんも「クワイエット・ファミリー」と「
大統領の理髪師」に出てるとは! DB凄い。
たんぽこ通信 映画五十音リスト
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