監督:モスタファ・R=キャリミ
出演:アミール(モハマド・レザ=フルタン)、シミン(マータブ・ケラマティ)、バーラム(ハーメド・ベーダド)、ネダ(ニユシャ・ゼイガミー)、ほか
2007年、イラン・日本
デザイン会社を経営するアミールと精神科医のシミンは、最初の子どもをシミンが死産したことで夫婦関係が冷め切っていた。そんなある日、カメラを趣味とするネダと、その兄バーラムと知り合ったアミールは、若々しいネダに徐々に惹かれていく。しかし、兄のバーラムは兄妹が幼いころ、愛人を作って家を出た父のせいで妹以外の人間を信じられなくなっており、精神症の発作でたびたび苦しんでいた。アミールは妻と別れてネダと結婚しようとするが…。
サスペンスかな〜と思って見ていたら、一応、ヒューマンドラマの枠に入るようです。しかし、心を病んだバーラムが依存する妹のネダと、関係の冷え切った夫婦アミールとシミンという2組の男女という取り合わせは否が応でも緊張感を増す雰囲気がありました。
ネダとの不倫を隠さないアミール。アミールを愛しているシミン。そのシミンに治療を受けながら、ネダを案ずるバーラム。といった感じで、最初は全然関係のなかった4人が徐々に複雑な関係を持つに及んで、物語は避けようのない悲劇へ進んでいきます。
わしはアミールのキャラは、どうも好きになれなかったので、美人のシミンさんの方に味方して見ていました(アミールとシミンと友人の夫婦が出てきて、奥さんがやっぱり「いつでもシミンの味方よ」と宣言する)。シミンさんは精神科医です。わりと若い患者を受け持つことが多く、一度、子どもを失ったことで、シミンさんは自分たちの子どもが精神病になったら嫌だということで、妊娠を拒絶します。ところがアミールは、どれだけシミンさんを説得しようとしたのかは知りませんし、描かれませんが、そのためにシミンへの愛情が冷めたと言い、ネダと堂々と浮気をするわけです。シミンさんの不安を解消しようとする努力をしたのか、どうにも疑わしく、ネダに不倫であることがばれて、兄が不安定になっていることもあって別れようと言われても、堂々と写真展にやってきてしまったり、社長でありながら、ネダから電話が来ると大事な会議を堂々とさぼったり、なにしろ、やることなすことが子どもっぽい感じです。これで子どもが欲しいと言われても、今度は飽きるんだろうおまい?!な感じがして、最後までアミールは好きになれませんでした。
ネダは、そういうわけで精神病を患う兄(人間を信じないので入院もできないため、治療ができない)につきまとわれて、不幸な感じなのですが、どうなんだろう、アミールみたいな不倫でなければ、兄は逆に祝福してくれたんじゃないだろうかと思わなくもありませんでした。
バーラムのキャラクターが、なんというか、この映画の象徴的な感じがしましたが、それは考え過ぎかもしれません。父への不信のあまり、妹以外の人間が信じられなくなってしまい、妹への依存だけで生きているという不幸な人物ですが、アミールにかき回されたような気もするし、確かにこんな兄ちゃんいたら、かなり負担だろうなぁと思うんだけど、難しいところですな。
同じ監督の「桜桃の味」も録ったのに、バカテレビが勝手に画面サイズを変えやがって、NHKが字幕を画面の外に出したもんで字幕が見られなくなったので断念。馬鹿野郎 ヽ(`Д´)ノ
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