原作:向田邦子
出演:角倉(小林薫)、水田民(田中裕子)、水田仙吉(串田和美)、水田さと子(池脇千鶴)、辻本(窪塚洋介)、祖父(森繁久彌)、角倉の妻(樋口加奈子)、金歯(竹中直人)、ほか
映画かと思ったら、テレビドラマでした。そういや、田中裕子さん主演で向田邦子さん原作でけっこうドラマ化してましたな。たきがはが田中裕子さんを好きになったのは「その人の名を知らず」というドラマでですが(「天城越え」だったかも…)、小林薫さんとの共演が多くて、またいい感じで、この二人の取り合わせだとよく見てたのですが、これは未見でした。
父母とともに東京に戻ってきた水田さと子。父の親友・角倉が一家を新居に迎える。あ・うんの呼吸と称される2人の友情を縦軸に、母・民の妊娠、さと子の見合いと恋愛、山師である祖父のことなどを横軸に綴る、水田一家の物語。
けっこうエピソードが盛りだくさんです。母の妊娠と流産、祖父のこと、さと子の見合いと恋愛、角倉に子どもができたこととその妻のことなど、いくつも話が入っていますが、決して詰め込みすぎという感じではありません。それは主軸が、角倉に想われ、水田と結婚した民という女性にあるからだと想います。彼女がしっかり家庭の主婦して、さと子の母して、水田の妻して、なおかつ角倉にとってはプラトニックな相手でもあるという存在で、話の中心にがんとしているからです。田中裕子さん演ずる民さんは、一見ひょうひょうとした女性であるように見えて、実は細やかな気配りと時に大胆な行動が取れる女性であり、自身も角倉を好きでありながら、どういう経緯か水田と結婚したのでした。
で、脇を締めるのが小林薫さん、森繁久彌さん、樋口可南子さんという芸達者な方で、旦那役の串田和美さんという方だけ知らないんだが、角倉と何もかも反対で、夜学出身であることを引け目に思っていて、威張るのが好きで、でも家庭思いのお父さんというキャラクターがなかなかはまっていました。個人的にはたった10年前のドラマなのに、竹中直人さんや窪塚洋介がえらい若いのに驚いた… 舞台が昭和10年という時代なので、そう見えたのかも。しかし、あと2年で日本は日中戦争に突入しようとしているのに、ある意味、天下太平な一家です。まぁ、庶民の暮らしはこんなものか。
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