監督:チャールズ=ウォルターズ
出演:ドン=ヒューズ(フレッド=アステア)、ハンナ=ブラウン(ジュディ=ガーランド)、ナディーン(アン=ミラー)、ジョニー(ピーター=ローフォード)、ほか
音楽:アーヴィング=バーリン
アメリカ、1948年
ジュディ=ガーランドとフレッド=アステアのロマンチックなミュージカルです。
1912年、ブロードウェイのダンサーであるドン=ヒューズはイースター祭のプレゼントをパートナーのナディーンに贈るが、彼女はドンからの独立を志して、折良く大物興行師に声をかけられてドンのもとを去ってしまう。失意のドンは酒場へ行き、たまたま視界に入った踊り子のハンナに名刺を渡す。親友のジョニーに「どんな素人でもプロのダンサーに仕立ててみせる」と見得を切ったドンだったが、そうとは知らぬハンナはドンにダンスを仕込まれる。しかし二人の初舞台はさんざんな評判だった。ハンナは歌手の方が本業でダンスは素人だったのだ。そのことをナディーンから指摘されたドンは、ハンナの才能を生かそうと路線を変更し、二人はブロードウェイのスターになっていく。いつかドンを愛し始めていたハンナだったが、ドンが今もナディーンを愛しているのではないかという疑いを消せないでいた。だがジョニーの助けもあってドンとハンナは仲直りをし、イースター・パレードに繰り出す。1年前はナディーンが注目を浴びていたが、今、皆の注目を浴びるのはドンが予言したとおり、ハンナであった。
アステアさんがわりと老け顔なもんですし、実際のところ49歳なんで、26歳と若いジュディと並ぶとカップルというより親子な感じもしなくもありませんが、まぁ、そこは眼をつぶれるレベルです。むしろ、稀代のダンサー、フレッド=アステアと、天才歌手のジュディ=ガーランドの夢の共演をたっぷりと楽しむのが良いです。
途中、ハンナの才能を認めるまでのドンがわりと鼻持ちならない高慢ちきなおっさんだったりしますが、それも後のラブコメを思えば許せる展開。むしろ、二人で仲良く主題歌「イースター・パレード」を歌いながらニューヨーク5番街のイースター・パレードに繰り出すラストシーンは素晴らしい出来でした。
そう、タイトルの「イースター・パレード」というのはただの、そんじょそこらのイースター・パレードではなく、有名なニューヨーク5番街のイースター・パレードなのでした。だから、そこで注目を浴びるというのは並大抵のことではなく、まさにスターの証なわけです。
そして、ドンのおかげでいいダンサーになれたにもかかわらず、ドンから独立したいと言ってパートナーの席を蹴ってしまうナディーンは、ちょっと高慢ちきなやな女だったりしましたが、演じたアン=ミラーさんの裏話(という特典)を聞くと、また見た目が変わってしまうものです。彼女、背骨を骨折した後のお芝居で、痛みをこらえての熱演だったそうなんです。それもこれもフレッド=アステアと踊りたいためとあれば、アステア冥利に尽きるじゃありませんか。そう思うと自信満々に微笑んで歌い、踊るナディーンがすごい努力家に見えてきました。実際、彼女はドンという保護者を離れて独立することを選んだのですから、すごい努力家なんです。彼女は彼女の力でスターの座を得たのです。
また、そんなドンとナディーンを見守るいい人ジョニーは、最初から最後までいい人でした。ハンナにもふられちゃったんで、せめてナディーンとくっついたらいいと思いました。
音声解説の特典がついていましたが、「巴里のアメリカ人」みたいに一本まるまるだと大変なのでまた今度。
期待どおりの名作ミュージカルでした。
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