竹宮惠子著。竹宮惠子全集7巻。
表題作のほか「真夏の夜の夢」「夜は沈黙のとき」「夢魔のいる世界」「エメレンティア」を収録。表題作と「夜は沈黙のとき」はSFですが、あとはファンタジーっぽい。やっぱり長編以外は傾向で集めてるんだな。
「エデン2185」はいちばん好きな竹宮作品です。地球からの移民船、目的地の惑星と同じ名前を持ち、2185年に到着予定の宇宙船にまつわるSF連作で、わしはこれくらいの理論とか物理とか持ち出さない、ほどほどのSFが好きです。全5作と短いシリーズなんですが、エデン2185の起承転結を鮮やかに描いていて、どの話よりも印象的です。
話は前2作がシド=ヨーハンを主役に据えて、旅立ったばかりの不安定なエデン2185の社会と、特別な地位にあるシドたち宇宙飛行士たちの話。後3作が主役を次世代に譲り、リィトム=トワイディングを中心に、一度断絶された宇宙飛行士たち=フライングマンと一般市民との再交流の話で、シド=ヨーハンがいいのはもちろんのことながら、前2作ではハロが好きです。3作目でおっさんになったハロが出てきて、これがまた短い出番ながらいい味出してます。後3作ではリィトムのライバル後に親友になるクウィンがけっこう好きで、リィトムが事故死してしまうラストはけっこうほろりと来ます。
こういうSFは星野之宣氏の「2001夜物語」にも通じるところがあって、世界観はしっかり確立してるんだけど、理論とか持ち出さないライトな感じが好きだったりします。
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