監督:ルイ=マル
出演:フロランス=カララ(ジャンヌ=モロー)、ジュリアン=タベルニエ(モーリス=ロネ)、ルイ(ジョルジュ=プージュリー)、ヴェロニク(ヨリ=ベルダン)、シェリエ警部(リノ=ヴァンチュラ)、ほか
音楽:マイルス=デイヴィス
見たところ:シネプレックス平塚
フランス、1958年
「第3回 新・午前十時の映画祭」で最後の作品です。この後、「東京物語」と「麦秋」がかかるんですが、小津はもういいや。
軍人あがりのジュリアン=タベルニエは、愛人関係にある雇い主カララ氏の妻フロランスにそそのかされてカララ氏を殺し、自殺に見せかける。だが、犯罪に使ったロープをしまい忘れたことに気づき、会社に戻ったところ、彼の存在に気づかぬ守衛により、エレベーターに閉じ込められてしまう。ジュリアンに憧れる花屋に勤めるヴェロニクは、彼の車を盗んだボーイフレンドのルイとドライブに出かけた先で知り合ったドイツ人旅行者のベイカー夫妻とモーテルに泊まることにするが、ルイはふとしたことでベイカー夫妻を撃ち殺してしまう…。
と2つの事件が2組のカップルによって行われ、ジュリアンのエレベーターからの脱走とか、誤認逮捕とかいろいろ絡んで、最後まで目が離せませんでした。ジャンヌ=モローさんはお美しく、同情の余地もない夫殺しをさせてますが、ラスト、写真の中でジュリアンと写っているところではたおやかに微笑んでいて、どう見ても歳の離れた夫との生活がうまくいっていたようには思われず、陪審員ならばいざ知らず、観客としては大いに同情するところがありました。美人は得ですネ。
モーリス=ロネ氏は、フランス映画には珍しい正統派の2枚目だと思って見てましたが、実は「
太陽がいっぱい」のフィリップであることに最後まで気づきませんでした… ガ━━━(゚Д゚;)━( ゚Д)━( ゚)━( )━(゚; )━(Д゚; )━(゚Д゚;)━━━ン!!!!! フィリップって、もっと四角い顔じゃなかったっけ… (´・ω・`) アラン=ドロンと並んでたから四角く見えたのか… 世紀の美男子アラン=ドロンの前じゃ正統派の2枚目なんてかすみたいなもの…(←ひどい)
そして、不倫カップルに対する若者カップルですが、これがちょっとお馬鹿さん過ぎてあんまり同情の余地もなく、感情移入もせずに観てました。ルイはヴェロニクにさんざん小馬鹿にされてまして、
Wikipediaでも「
チンピラ」と端的に書かれてまして、そのとおり、虚栄心だけやたらに強い馬鹿者って感じはチンピラ以外には形容のしようがないとも言えます… まぁ、わしも年取って明らかにフロランスのが年齢的に近いんで同情しちゃいますから、もっと若い人が観たら、それなりにルイやヴェロニクに同情するのかもしれませんが。
リノ=ヴァンチュラさんはジャン=ギャバンのギャング映画とかでおなじみの方で、あの団子鼻は、そうそうフランス男ってこんな感じ!な方です。キャストとか見てたら、ジャン=ギャバンと同じジャン=バルジャン(「レ・ミゼラブル」の主人公)やってて、テレビ版ですが、似たようなごついタイプだよなぁと思いました。「
シシリアン」でも警部役でしたが。
評判の高いマイルス=デイヴィスの音楽は、ポイントを抑えた、わりと抑制的な使い方でより印象的、格好良かったです。
ルイに殺されちゃったベイカーさんは、いい歳こいたおっさんなのにメルセデスをぶいぶいかっ飛ばす人で、ルイに車をぶつけられたのも「車をぶつけられた初の記念だ。シャンパンで乾杯しよう」とか言っちゃう豪快さは、車=走る物であって、見せびらかす物じゃないって心情かなぁと思って、けっこう好きな人でしたよ。その分、ルイへの感想が辛くなるわけですわい。
フランス映画らしい、落ち着いた映画です。
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