日々のつぶやきと読んだ本と見た映像について気まぐれに語るブログ。Web拍手のメッセージへのレスもここ。「Gガンダム」と「ジャイアントロボ」への熱い語りはオタク度Maxにつき、取り扱い注意! 諸事情により、コメントは管理人が操作しないと反映されません。時々、サイトの更新情報など。
監督:呉美保
原作:佐藤泰志
出演:佐藤達夫(綾野剛)、千夏(池脇千鶴)、拓次(菅田将暉)、中島(高橋和也)、松本(火野正平)、母(伊佐山ひろ子)、父(田村泰二郎)、ほか
見たところ:川崎アルテリオ・シネマ
2014年、日本
綾野剛が主演なんで見たいという母の要望で行ってきました。
働きもせず、毎日、パチンコと散歩で時間を潰している佐藤達夫はパチンコ屋で拓次という青年と知り合い、仲良くなる。拓次の家は海の近くのバラックで、寝たきりの父、母、姉の千夏との4人暮らし。実は拓次は傷害事件を起こしたことがあり、現在は仮釈放中の身、千夏と不倫関係にある造園所を経営する中島に身元を保証されて働いているが、仕事も毎日あるわけではないので暇な時は達夫と出会ったパチンコ屋にいるのだった。一家を養う千夏はホステスをやっており、酔っぱらった達夫は場末のバーで再会し、彼女が身体を売っていることも知る。最初は反発した2人だったが、次第に惹かれ合っていく…。
もう出逢うべくして出逢った男女の恋物語です。達夫は白昼夢を見ていたり、たまにやってくる松本が事情通だったりして、だんだん明らかにされていきますが、元は山で働いていて、それもダイナマイトとかを仕掛けて山を崩し、岩を採るような仕事をやっていたらしいのですが、達夫の不注意と不運もあり、目の前で部下を死なせてしまいます。けっこうな高給取りだったようで、それで町でパチンコをして、のんべんだらりと暮らしていけたんですが、その裏には他人とできるだけ関わるまいとする達夫の臆病さが見え隠れしています。
そこに現われたのが千夏の弟の拓次でして、傷害事件を起こした荒っぽい性格ながら、基本的には人なつこくて気のいい性格なので、パチンコ屋で意気投合したこともあり、達夫を家に招き、千夏に引き合わせるキューピッドの役割も果たし、人付き合いの悪い達夫の親友となっていきます。わしは見ていて、拓次がいちばん好きでした。
そして千夏は、これまた一家の不幸を一人で背負っているような女性でして、売春もやるホステスで、父親が脳梗塞で倒れているんですが、寝たきりなのに性欲は抜群という感じで、しょっちゅう母親を呼びつけます。でも母親も看病疲れとかあって、いくら父親が呼んでも応えない時もあるんですが、そういう時に千夏が行くんですよね。それは責任放棄だと思うんじゃが… 娘に父親の性欲始末させるのってどうなのって感じで、加えて中島との不倫とかもあって、もう何もかも諦めたような顔をしていて、途中でイカの塩辛工場で働いていたのは前からだったのか仕事を増やしたのか不明なんですが、もう不幸背負いまくっちゃって、いわゆる薄幸な女性を地でいくような感じで、でも演ずる池脇千鶴さんがけっこうはまってる感じだったので、達夫が千夏に惹かれたのも、そもそもはその不幸さとかだったんじゃないかと思ってみたり。
最後、達夫は千夏のために山に戻る決心を固めます。ただ、見ていて、ずーっと、この話の着地点はどこかと思っていたわしは、達夫と千夏がくっついて、めでたしめでたしでは終わらないだろうなぁとは思ってたんで、拓次のしたことが悲しいと思いました。もう可愛そうで可愛くて、拓次がいちばんいいなぁと思ったのは、最後まで見たからだろうと思います。
悪人らしい悪人の出ない話で、唯一と言ってもいい中島(千夏の不倫相手で拓次の雇い主兼保護観察者)が千夏に固執したのは、婿養子だったりしたのかなぁと思いつきました。それで家ではいい夫、いい父親の顔をしていなきゃいけないので千夏に発散するという最低男でしたが、そんな理由を考えました。
久しぶりに日本映画らしい、どろどろの恋愛物を見たなぁと思いました。けっこうお薦めです。
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