林隆三さん追悼で、手近なところにこれしかなかったので「黄金の日日」を見ました。
市川染五郎(現・松本幸四郎)さんが好きではないという母に、あの手この手で良さを吹きこみまして、とうとう「DVD貸して」と言わせることに成功。現在、12話まで見て、「やっぱりおもしろいわね」と受けてます。ちなみにヒロインの美緒を演ずる栗原小巻さんもあまり好きではないそうなんですが、こっちもあの手この手で良さ(ついでに助左の朴念仁ぶり)も吹きこんで、美緒の良さをインプリンティング中です。女性キャラでは美緒とお仙ちゃんが好きです。受け身なモニカとか桔梗はあんまり好きじゃないです。総合では何と言っても善住坊と五右衛門ですが、最終の3話には出てこないのでした。しょんぼり… (´・ω・`)
林隆三さん演ずる今井宗薫は、助左の終生のライバル(恋の上でも商売の上でも)です。助左の30年来の思い人である美緒は宗薫の嫁(その前は義妹)ですし、そもそも助左の出発点は今井家の使用人(父親が今井家に使える船長だった)ですし、助左が商人として名をなし、呂宋との貿易などで巨財の富を築いても、堺の会合衆である宗薫はやっぱり助左にとって商売敵であり、同志でもあり、決して仲良くお友達なんかにはなれないような関係なのです。
でも、宗薫は、そもそもその父・宗久が生きていた頃から、宗久に可愛がられた助左を目の仇にもしておりまして、まぁ、宗久は織田贔屓で、助左も羽柴籐吉郎と知り合い、秀吉に可愛がられ、後には目の仇にもされた関係なんですが、終始、尾張の方についているんですけど、宗薫はそういう父への反発から徳川家康と昵懇になっていく。まぁ、ここで毛利とか上杉じゃなくて徳川を選んだのが宗薫にも見る眼はあったということなんでしょうが、残念ながら、この人、商売の才能があんまりなくて、宗久亡き後の今井家の商売は養女で嫁の美緒が切り盛りしていってて、息子の小太郎(実母は家康に仕える忍びだった)が成長してからは小太郎がって感じなのですが。そういうこともあったりして、恵まれた家柄に生まれながら、本人はどうも斜め上の方向を目指して、真っ直ぐに商人として大成していき、実は美緒の気持ちも小太郎の尊敬も集めている助左に嫉妬心むき出しな感じもして、序盤から中盤にかけて、けっこうやな奴だったりします。
ただ、秀吉も亡くなって関ヶ原前夜から始まる、この最終3話では、助左もなんだかんだで50代、宗薫も同年代なんで、助左とともに呂宋に追放され、商人としてすっかり成長した小太郎に会合衆の代理を任せちゃう辺り、宗薫も歳を取ったなぁと思いました。そういう意味でも最後までパワフルに堺のために走り回る助左とは対照的です。
助左憎しで堺よりも家康を取ろうとしていた宗薫でしたが、美緒に小太郎と家出すると脅されまして、観念し、助左に協力して堺の堀のために頑張る第49話ではようやく助左に対するわだかまりもほどけた感じでしたが、第50話で関ヶ原の合戦が起こり、天下は家康のものになってしまいますと、家康が堺の自主中立を認めないばかりか、港も塞ぎ、今までの南蛮貿易の相手も止めて、と言い出すと、宗薫は一気に老け込んだような印象でした。
ただ、呂宋に行って、新たな堺を築こうと助左の言う最終話でも、やっぱり家康に従って江戸に向かう宗薫、その父を思い、助左と一緒に行けない小太郎や、最後まで小太郎の母親でありたいとする美緒を見ていると、宗薫もそれなりに愛されるキャラにはなっていたのかなぁと思ったり。
久しぶりにDVDを観ましたが、堺の堀に水が戻る辺りから泣きっぱなしで、やっぱりいいドラマだなぁと思いました。
林隆三さんのご冥福をお祈りします。さらに「サイゴンから来た妻と娘」が見たいんじゃが…
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