監督・脚本:新藤兼人
出演:妻(乙羽信子)、夫(殿山泰司)、太郎(田中伸二)、弟(堀本正紀)、ほか
1960年、日本
全編台詞無しの映画。
瀬戸内海の小島で暮らす4人家族。夫と妻は毎日、隣の島まで手漕ぎ舟で往復して水を汲みに行き、島のわずかな土地に作った畑に水をまいている。上の子は学校に通っているが、下の子は未就学なので、両親の手伝いをしたり、魚を捕りに素潜りをしたりする毎日を送っている。
全編こんな感じの映画で、そのほとんどは夫婦の農作業に費やされます。隣の島まで水を汲みに行き、手漕ぎ舟で帰って、急斜面を天秤棒で担いでのぼっていき、水をまく。また水を汲みに行く、という淡々とした展開。
上の子は学校に行っているので、隣の島まで手漕ぎ舟で乗せていき、ついでに水を汲み、迎えに行ったついでにまた水を汲むという生活の繰り返し。
妻がよろけて斜面で水をこぼせば、夫は平手打ちをし、ただ黙々と水をやる2人。
それでも一日が終われば、ドラム缶で湯を沸かし、五右衛門風呂に入り、疲れを癒す。
たまの雨には縄をない、草履を作り、子どもが鯛を釣れば、尾道まで出かけていって売り、外食を楽しんだり、新しい服を買ったり。
でも最後、太郎が高熱を出してしまい、夫が医者を呼びに行ったけど、間に合わずに死んでしまい、担任が坊さんと同級生と一緒にやってきて、そこに建てられた墓碑で初めて「太郎」という名前がわかったり。
それでも繰り返される農業の営みに、一度は号泣してやめた妻が、また水をまき、元の生活に戻るという流れに、「
一枚のハガキ」にも通じる、大地に根を張って生きてきた日本人を見る思いがしました。
そして、今の日本でこれと同じようなことをしようと思っても難しいんだなと思ったら、その方が泣けてきたヨ ・゚・(つД`)・゚・
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