監督:キャロル=リード
出演:ハリー=ライム(オーソン=ウェルズ)、ホリー=マーチンス(ジョゼフ=コットン)、アンナ(アリダ=ヴァリ)、キャロウェイ少佐(トレヴァー=ハワード)、ほか
1949年、アメリカ
20年来の友人ハリー=ライムの招きでアメリカからウィーンにやってきた三文小説家のホリー=マーチンスは、来る早々、ハリーの葬儀に立ち会う。しかし、その死に疑問を抱いたホリーは、ハリーの死の真相を探るうちに、ハリーの恋人アンナや友人のクルツ、ハリーを追う国際警察の一員でイギリス人少佐のキャロウェイらと知り合うが…。
そのテーマ曲とともに、あまりに有名な映画ですが、初見です。しかし、だいたいの粗筋は有名なんで知っており、ラスト・シーンなんかもあちこちで紹介されるんで何度も見てたりしてるわけです。で、こんだけ有名な上、誰もがいい映画だと褒め称えるもんですから、どんな映画かと期待して見ていたんだけどさぁ (´・ω・`)
登場人物の誰にも感情移入できなかったんですよ、まず。ホリーもハリーも。ハリーは要するに悪役で、わりと同情の余地のない悪人なんですね。ハリーが薄めたペニシリンを売ったせいで何十人もの犠牲者が出ているのに、それをホリーに指摘されると「そんなことは聞きたくない」と。世の中は金が全てだと思ってるんだけど、自分が悪いことをやってるって自覚はあるのよ。で、たぶん、国際警察(第二次世界大戦後のウィーンなので4ヶ国統治がされているので)に追われていて、身代りを立てて死を偽装したわけなんですね。でも、そういうところが小物っぽくて、オーソン=ウェルズに特に思い入れもないもんですから、実は生きていても別に嬉しくも何ともないし、同情もしないし、好きにもならなかったのよ。これが、むしろ、「死者が出てるから何だ?」と言っちゃうような悪人だったら、まだ好きになったかもしれなかったんですが。
じゃあ、結果的にハリーを追い詰めるホリーがいいかと言われると、20年来の友人を売っちゃうのもどうかと思うんだけど、何というか、何とも青臭い御仁で、ぶっちゃけ好きなタイプではありません。それにホリーに感情移入するには、なんというか、ハリーとの20年来の友情で、警察に協力するか、ハリーを見逃すかと悩むところも、あんまり理解できず、結局、ハリーを売っちゃうんだけど。
だったら、ハリーの恋人のアンナはどうかというと、まぁ、ハリーもアンナには優しかったんだろうね。ラスト、ハリーを裏切ったホリーを、アンナは振り返りもせずに歩いていくわけだし。ホリーが許せないって気持ちもわかるんだけど、それほど魅力的な女性には見えなかったもんで。
結局、薄めたペニシリンを売って、「良くて死亡、悪かったら精神病院に送られた」ハリーの犠牲者たちの姿を見ると(それも一人や二人でもないわけで)、ハリー捕まえちまえ!とか思ってしまうわけで。
この映画のどこら辺が傑作なのか、どなたか教えていただけませんでしょうか?
たんぽこ通信 映画五十音リスト
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