監督:高橋伴明
出演:熊本典道(萩原聖人)、袴田巌(新井浩文)、ほか
見たところ:横浜シネマベティ
2010年、日本
ずいぶん前、わしは「
13階段」という映画を見た時に
状況証拠で死刑にするな〜!と感想を書いたのですが、事実は小説よりも奇なりとはよくぞ言ったものだと思いました。袴田事件でなってんじゃん。まぁ、日本の警察が優秀だから検挙率だったか有罪率が95%なんて話、今の時代にあってはこういう冤罪の積み重ねなんだろうなぁと思わずにいられません。
同時に思ったのは、裁判員制度、わしは絶対に引き受けられないなぁってことでした。いや〜、だってさ、主任判事になった熊本裁判官が袴田さんの調書を読むわけですよ、45冊。あれ、何日もかかってるぜ? そして、そこに刑事たちの無理な取り調べがあったって事実に気づくには、きっと調書の読み方を知らないと駄目だぜ? 実際の裁判員が関わる裁判がどんなものだかわかりませんけど、素人に気軽にできることじゃないし、ましてや現状の3日間の審議で結論出せるものじゃないですよ、明らかに無理っす。そんな裁判の裁判員、引き受けらんねーよ、有罪か無罪かなんて言ったら、俺は基本的に死刑制度に懐疑的な人間なんで、できるだけ反対したいと思うけど、わずか3日で、専門家の裁判官が一緒で、ほかにも裁判員がいて、たとえば「十二人の怒れる男」のヘンリー=フォンダみたいなわけにはいかんですよ。3日間しかないのに、おかしいなんて異議唱えられるかよって話。だったら、俺、裁判員なんて引き受けない方がいいと思った。裁判なんて人の一生を決めること(実際に、袴田さんに有罪の判決を言い渡したことで熊本裁判官は裁判官を退職し、奥さんと娘二人もいるのに離婚もし、自殺まで計っているのに。人生無茶苦茶になってるんですよ。これがプロだぜ? 素人が引き受けてどうにかならないなんて言えますか、あなた? 実際に福岡の裁判員をした女性で、証拠写真として死体を見せられたために仕事を辞めなければならなくなるほど体調を崩した人もいるわけだし。まさに「裁く側も裁かれている」のよ、人を一人裁いておいて、明日から何の関係もなしなんて顔、できるものじゃないですよ)に、わしは関われないと思った。
だったら結論は1つ。
裁判員制度に反対するしかないです。むしろ、漫画家の蛭子能収さんも言ってるように、「裁判官に市民の仕事をしてもらって、市民感覚(という言葉もうさんくさくて好きじゃないんだけど。あのね、誰の本だったか忘れたけど、素人の方がプロよりも残酷なんだよ。農民は敵対勢力を殺す時は全滅させちゃうけど、侍は決して全滅させないんだって。その方が来年もふんだくれるから。裁判員って制度にも同じ臭いを感じるわけですよ、市民感覚って言葉にはそういううさんくささと怖ろしさがあるんですよ。「
七人の侍」でもあったでしょ? 野伏を殺しちゃう農民ってシーンが。でも勘兵衛たち侍は殺すことまではしなかったと思うんだよね、絶対。市民感覚ってあれに近いと思うのよね)を養ってもらった方がいい」と。「職業選択の自由で裁かない立場の漫画家を選んだのに、何で裁判員なんてやらされなければならないんだ」と。
それにしてもなんて杜撰な捜査・取り調べ・裁判なんだろうと憤りさえ感じます。
袴田さんの事件については、以下のページも参考までに。
袴田巌さんの再審を開き、無罪を勝ち取る全国ネットワーク無実の死刑囚・元プロボクサー袴田巌さんを救う会たんぽこ通信 映画五十音リスト
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