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永岑三千輝著。青木書店刊。

副題が「独ソ戦・世界大戦・総力戦の弁証法」とあります。

こんなお堅い本、久しぶりに読みましたが、あ〜、おもしろかった! この手の学術的な本が陥りがちな小難しい専門用語と難解で、どこまで続くのかわからないような日本語でなく、ずばっずばっと書いているので、とても読みやすかったです。
なにより、最初はユダヤ人を絶滅させる気がなかったというヒトラーが、独ソ戦での敗北を機に最終解決=絶滅へと至り、日本の対米宣戦が、ヨーロッパの戦争に過ぎなかったナチスの戦いを、アメリカに宣戦布告することにより、一気に世界大戦へと押し上げ、そのためにユダヤ人も絶滅させなければならなくなった(ナチスにとって)と論を進める辺りが最高におもしろい。

今まで日本人というのはホロコースト、ユダヤ人絶滅には関係ないと思っていた人が大半じゃないでしょうか? でも、著者は実は日本のアメリカに対する宣戦布告により、日本もまた無関係ではないと言い切ります。
当時、ドイツは勝つはずだったソ連戦が怪しくなり、負けが見え始めていました。でも同盟国の日本がアメリカに宣戦布告したってんで、ドイツもせざるを得なくなります。で、ドイツはソ連を攻める理由をユダヤ人のせいにしていたので、ボルシェヴィキ=ユダヤという構図でソ連を落とし、ユダヤ人を東方に追いやろうとしていました。けれどその目論見が大きく外れつつありました。当然、ドイツ軍の士気は下がっていきます。そこに新たにアメリカが戦線に加わることでそれまでヨーロッパの戦争だった戦いは二度目の世界大戦と拡大し、ドイツは英米をユダヤ人の国家とすることでその敗北を自らに義務づけたわけです。
しかし、日本だって勝てない戦に踏み出したのは似たようなものでしょう。以前、「日中戦争」という本を読んだことがありましたが、1939年から始まっていた日中戦争で日本はアメリカから鉄を輸入して戦争していたとありました。でもその輸入相手のアメリカに喧嘩を売ったのです。勝てるわけがありません。

また著者は、「マルコポーロ」という雑誌にかつて載せられ、「マルコポーロ」を廃刊に追い込んだガス室が存在していなかったという論に対しても、日本人としての責務を持って批判します。

歴史の出来事というピースがあって、それらがはまっていくパズルのようなおもしろさがあります。日本がアメリカに宣戦布告したことがユダヤ人を絶滅させる方へナチスを方向転換させた。その事実を知って、どうして遠い中東の国イスラエルが無縁な国だと思えるでしょうか? ヒトラーの演説を携帯の着信にしていたというネオナチが逮捕されたという事実を遠い国の出来事だと言えるでしょうか? 歴史のダイナミックなつながりを読ませてくれる名著です。

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