監督:セルジオ=レオーネ
出演:ハーモニカ(チャールズ=ブロンソン)、フランク(ヘンリー=フォンダ)、ジル(クラウディア=カルディナーレ)、シャイアン(ジェイソン=ロバーツ)、ほか
音楽:エンリオ=モリコーネ
1968年、イタリア・アメリカ
たきがはがチャールズ=ブロンソン氏に惚れたきっかけはこの映画でした。監督は「夕陽のガンマン」とかで有名なマカロニ・ウェスタンの巨匠(というか、ほかに知らないんだけど)セルジオ=レオーネです。そのつながりでヒロインがイタリアの女優、クラウディア=カルディナーレさんか? イタリアとアメリカの合作だから、そっちの筋か?
西部の駅でフランクに会いたがる男を出迎えに3人の無法者が現われた。やってきた汽車の影でハーモニカを吹き鳴らす男は、3人をいとも簡単に片づけると、ガンマン・フランクへの壮絶な復讐劇の幕を上げるのだった。一方、フランクに夫とその家族を殺されたジルや、フランクのなした悪事を自分のせいにされた無法者シャイアンも、ハーモニカと接近していく。
かの「荒野の七人」が1960年ですから、「ウェスタン」はその後ということになります。しかし、相手がアメリカの名優ヘンリー=フォンダさんで、ハーモニカの登場時には何か若く見えちった。なんでだろう? アップになるとけっこう皺っぽいんですよ。無理もない、40代後半だし。でも、ヒロインに惚れられ、シャイアンにも惚れられるいい男、悲痛なハーモニカのメロディもラスト近くで語られるフランクに向ける復讐心の強さを思うと、やっぱり格好いいんだわ、これ。
さて、イタリア・アメリカ合作ですが、なにしろヘンリー=フォンダが悪役、それもかなり情け容赦も庇いようもない悪役をやったってんで、アメリカでの興行は悪かった模様。でも、ほかの国では大ヒットしたそうな。だって、チャールズ=ブロンソン氏が格好いいのは当然として、シャイアンもかなりいい男なんですぜ〜 フランクの悪役ぶりもけっこうはまってると思う。唇の薄いところなんか、さも冷酷って感じがグッド! それにヒロインのジルが、いい女ですよ。気が強くて情に厚くて。でも、そのジルにシャイアンが説教するわけよ。ジルの旦那になる予定だった男性の土地って、鉄道が敷かれる予定で、それでフランクが鉄道会社のモートンに依頼されて、一家を皆殺しにしちゃったのよ。でも、フランクもモートンも倒されて、ジルの土地に線路の工事が延びてきて、男たちが労働にいそしんでいるわけです。それを見ながら、ジルに言うシャイアンの台詞が格好いい。「あいつらに尻を触られても気づかなかったふりをしろ。あいつらにはあんたのような女が必要なんだ」ところが、シャイアンは、ジルが土地を競売に出した時、ハーモニカがシャイアンにかけられた懸賞金で落としちゃったので、捕まっちゃったけど、部下の手引きもあって脱走してきたんですな。でも、部下は全員死んじゃったって言ってるし、この後でシャイアン自身も撃たれて重傷で、でも、ジルの前では痛みをこらえていて、ハーモニカには知られたけど、死ぬところは見せたくないと言う。無法者で、賞金首で、たぶん、汚いこともひどいこともいっぱいしてるんだろうけど、でも、格好いいな、シャイアン。そんなシャイアンが惚れるハーモニカですよ、格好良くないわけがないですよ。
ハーモニカが部下に裏切られたフランクを手助けしたのは、自分の手でフランクを撃つためでした。それは遠い昔、少年だったハーモニカは、首つりにされた兄を支えさせられ、その時、彼の口に「兄貴を励ましてやれ」と言ってハーモニカを突っ込んだのがフランクだったのでした。少年には重い大人の体重が細い肩にのしかかる。ハーモニカは足を踏ん張ろうとするけど、でも、ハーモニカをくわえさせられた時には体力も限界で倒れてしまい、そのために兄は首を吊られてしまいました。こういう生々しさっていうの、やたらに残虐なのはさすが、マカロニ・ウェスタンの巨匠だと思う。いわゆる西部劇って、もっと上品だもん。でも、ハーモニカの吹くメロディには、これぐらいの絵が似合う。
かくて、たきがははチャールズ=ブロンソン氏にすっ転んだわけでした。
たんぽこ通信 映画五十音リスト
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