監督:オリヴァー=ヒルシュビーゲル
出演:アドルフ=ヒトラー(ブルーノ=ガンツ)、ほか
2004年
ドイツ、オーストリア、イタリア合作
タイトルどおり、ナチス・ドイツの総統アドルフ=ヒトラーの最後の12日間を、主に秘書トラウドゥル=ユンゲの視線で描いた力作。ヒトラーの狂気と人間らしさ、それに乗じたナチス幹部の狂気、ナチス・ドイツの敗北を描いています。
確かにアドルフ=ヒトラーは稀代の独裁者であり、狂人であったと思うのですが、たった一人の狂人に世界があれほどまでの傷を受けなければならなかったのかといったらそうではないわけで、ヒトラーとナチスのなす狂気に乗っかって、自分はうまい汁を吸った人間がおおぜいあったからこそ、ナチスはあれほどの権力を握ることができたと思います。まぁ、それをわかりやすく描いたと言ってもいい映画です。
22歳の若いトラウドゥル=ユンゲは、ナチス・ドイツの総裁アドルフ=ヒトラーの秘書に選ばれた。それから2年、1945年、ドイツは追い詰められており、ヒトラー自殺までの最後の12日間を追う。
すでに首都ベルリンにまで攻め込んできた連合軍に対し、もはやそれを退けるだけの兵力も武器も持たないドイツ。それなのにヒトラーは「第○軍が大規模な反抗を行えば」と繰り返し、そんな戦力がどこにあるんじゃ〜と言いたげに聞いている幹部たちの白々しさ。ヒトラーが名をあげた師団でさえ、もはや返電で「反撃する戦力はない」と言っているぐらい、ドイツ軍全体が追い詰められ、最後の時を迎えようとしているのになおそれを頼ることしかできない状態。本当に末期としか言いようがないドイツ。
そして、容赦なくベルリンに加えられる砲撃の生々しさ。そこから逃れようと、ヒトラーの愛人エヴァ=ブラウンがパーティを催したりするけど、それを中断させてしまうほどの砲撃の勢い。それなのに、守るために命を捨てる兵士。ただ無駄に殺されていく市民。
そんなものがドイツ映画らしい重厚なタッチと生真面目さで描かれ、2時間半と長いですが、最後まで飽きさせません。
しかし、この手の映画を見るたびに思うのですが、いつになったら日本人は、ヒロヒトについてちゃんと評価できるのかと。その戦争犯罪をちゃんと描けるのかと。思わずにいられません。
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