横山光輝著。全3巻。講談社漫画文庫刊。
「ジャイアントロボ」の十傑衆、直系の怒鬼の原型と思われます。片眼で七節棍を操る武芸の天才。OVA「ジャイアントロボ The Animation 地球が静止する日」では、Episode 6〜Last Episodeに登場、血風連という配下を持ち、一言もしゃべらない姿が印象的でした。あと、血風連ばっかりが戦うので、実力も不明。
間引きされた百姓の赤ん坊は、土に埋められても死なず、謎の法師に引き取られた。それから10数年後、土鬼と名づけられた赤子は法師、大谷主水の子として育てられるが、主水がかつて所属していた血風党に殺されたことで復讐の旅に出る。血で血を洗う土鬼の戦いは、奇しくも日本の闇を支配してきた血風党を闇に葬らんとしていた。
横山漫画の主人公は孤独です。「バビル二世」も孤独な戦いでしたが、あっちには5000年ももつスーパーコンピュータに、手足のように使える3つの僕がいましたが、土鬼にはほんとに部下も味方もいません。一応、愛鳥、稲妻という鷹と、一時だけ手を結ぶ霧兵衛という忍者が味方になりますが、それもほんの一時で、ほぼ全編、土鬼は孤独な戦いを強いられます。
しかも、この漫画には、最初に土鬼の生みの母が出たきり、女性がまったくと言っていいほど登場しません。なんとも男臭い、ストイックな漫画であります。
土鬼の戦いは、養父・大谷主水を殺されたこと、それが血風党のせいで、主水から習い覚えた武芸が血風党のものであったことから、復讐兼血風党の武芸を完璧なものにするという目的を兼ね備えて、孤独に続けられます。これを彩るのが、実在の人物である、宮本武蔵、駿河大納言・徳川忠長、柳生十兵衛などで、血風党自身の存命もからんでダイナミックに進んでいきます。
いや〜、土鬼がまた、格好いいんですわ。打たれても打たれても立ち直るタフさ、天性の武芸者の素質、ただひたすらに自分の目的に向けて邁進するひたむきさ、そして、最後には血風党の首領、無明斎(九大天王、無明・幻妖斎の原型でしょうな)に見せる細やかな心配りと大胆さなど、これでもかと詰め込まれた男の魅力にくらくら。
そんな土鬼と血風党を、「ジャイアントロボ」では首領と配下においた、直系の怒鬼と血風連の関係にも、またしびれてしまうのでありました。
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