監督:アラン=ドワン
音楽:ヴィクター=ヤング
出演:ストライカー軍曹(ジョン=ウェイン)、ピート=コンウェイ(ジョン=エイガー)、アリスン(アデール=マーラ)、トーマス(フォレスト=タッカー)、ほか
いわゆるクリント=イーストウッドの「硫黄島2部作」が話題になってた頃、わしはこの映画のことを思い出して見たくておりました。1949年とまだ戦争の記憶も生々しかったであろう頃に撮られたジョン=ウェイン主演の映画です。この映画でジョン=ウェインは初のアカデミー賞ノミネートとなりましたが、受賞はなし。後に監督・主演した「グリーンベレー」ほど愛国心むき出しでない分、安心して見られました。
1943年、ニュージーランドで新兵の訓練を行うストライカー軍曹は鬼と恐れられる堅物の軍人。父のコンウェイ大佐を失い、ストライカーの部下となった志願兵ピーターは、父とそっくりな軍曹を嫌い、反発する。タラワでの激しい上陸作戦の後、分隊を待っていたのは硫黄島での激戦であった。
どんな鬼軍曹かとわくわくしとったら、あんまりそういうシーンはありませんで、せいぜい銃剣使うのが下手な奴をぶん殴るとか、部下たちの反発っぷりぐらいで、日本軍にありがちな無茶苦茶な命令をする上官、というわけではないのでした。そうか、アメリカじゃストライカーぐらいでも鬼になっちゃうのか〜と思うと複雑。逆にピーターくん、ストライカーに言いたい放題で、日本軍だったら鉄拳制裁の雨霰で、その色男は二目と見られぬ顔になっていたに違いないとか思ったり。
そう考えると、ストライカーの厳しい訓練もある意味当然の面はあるわけでして、自分たちが死なないための訓練であり、勝つための訓練であり、それを鬼と言うのならば、そんな国と戦争して勝てるわけないよ、とか思ったりしました。
で、堅物の父親に反発してるピーターくん、ことごとくクソ生意気な口をストライカーに吐きまくるわけでありますが、逆にストライカーや、狂言回しのダン副隊長にしてみれば、コンウェイ大佐ってかなりいい上司だったようで、それはピーターの見てないストライカーの一面を見てるから、何もそんなに毛嫌いせんでも、という反発がそのまんま父親に向けられているのだなぁと感じまして、ピーターくん、ちょっと子どもっぽいかも。
でも、そこはジョン=ウェインもののお約束といいますか、訓練中にストライカーに助けられたピーターもその人間性に触れ、硫黄島に上陸する頃にはすっかり丁寧な口調に。軍隊を一家と見なして、ジョン=ウェインが家父長的存在ということらしいです。そういう意味では、この人もたくさんの映画に出たわけですが、基本的に長というポジションは変わらないわけでして、先日、ビデオからBDにダビングする際に見ていた「駅馬車」は、彼の出世作であるんですが、役柄としては後の家父長とは全然違う一匹狼なんだなぁと思いました(ちなみに、駅馬車という1台の馬車を中心に繰り広げられる人間模様は、まさに傑作としか言いようがないのですが、悪役を課せられたネイティブ・アメリカンの存在がなければ、もっと手放しでこの映画、褒めちゃうんだけどなぁと思いました。ジョン=フォードはやっぱり凄い監督だと思った)。
ラストのあまりにあっさりした死に様は、衝撃的すぎというか、あっさりしすぎというか。父として伝えるべき精神は伝えたので、次の世代にバトンタッチということなのかなぁと思ったり。ピーターくんが「戦闘はまだ終わっていない!」とストライカーばりに言っちゃう辺りなんか特に。
実は実録フィルムを使ってるそうです。しかも1949年なので合成がばればれですが、どこらへんまでが本物なのかな〜? すり鉢山に星条旗を立てたシーンも本物なんでしょうか?
対する日本軍があんまり日本軍に見えないのは、もうご愛嬌。
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