それはたきがはが会社の駐車場にいた時のことじゃった。
オプ子ちゃんの右隣にはでかいワゴン車が止まっていて、毎度駐車するのに気を遣うわけなのだが、その車はたいがいわしより帰るのが遅いのだった。で、朝来る時は五分五分くらいの確率で早かったり遅かったりするのだった。
で、止まっているワゴン車の脇を通り抜けてオプ子ちゃんのドアを開けようとした時! たきがはの首筋にぐぐぐい〜ッ!と引っかかったのは何ともご立派な蜘蛛の糸であった。
うがぁ〜!
たきがはは自宅に蜘蛛がいても全然気にしないし、蜘蛛が巣を張っているのを見るのが好きだし、ともかく蜘蛛は極力殺したくない主義の人であるが、オプ子ちゃんに蜘蛛の巣が張っているのはやっぱり勘弁願いたいのであった。蜘蛛の巣が張っていると急にびんぼくさく見えますし… やっぱりべたべたするのはいやですし… ちゅうか、動くもんに糸を張らないでくれよ!
と思ったのであるが、何しろ強靱な蜘蛛の糸だったので、五分くらい格闘していたのではなかったかと思う。手を振っても取れなかったので、容易に。
そしてそのまま、たきがはは蜘蛛の糸のことなどきれいさっぱり忘れて帰途についたのであった。
そして翌日、さて、いつものように出勤しようとオプ子ちゃんを発進させたたきがはは、右折しようとして一時停車して、助手席側を見て、信じられないものを見た!!
ガ━━━(゚Д゚;)━( ゚Д)━( ゚)━( )━(゚; )━(Д゚; )━(゚Д゚;)━━━ン!!!!!そこには足の長さ10cmばかりのご立派な足長蜘蛛がご立派な巣を張っていたではないか!!!
え? どこから侵入したんだ、この蜘蛛?
( ゚д゚)
(つд⊂)ゴシゴシ
(;゚д゚)
(つд⊂)ゴシゴシ _, ._
(;゚ Д゚) …?!
(つд⊂)ゴシゴシゴシゴシゴシゴシゴシゴシ
( д )
(; Д ) !!今の時期、たきがはは窓を開けて走る習慣がない。よって、昨日の晩、窓を開けっ放しで帰ったとは思えぬ。ましてや助手席側の窓など真夏でもなければ開けないが、入ったのが助手席側からとは限らぬ。
かといって、その前から蜘蛛が巣を張っていたにしては、さすがにわしも助手席を全く見ないわけではないので、やっぱり怪しいのは昨日のはずだ。しかし、どこから侵入したのだ、ちみは…???
。 。
/ / ポーン!
( Д )その時、わしは気づいた。昨晩、蜘蛛の糸と格闘したことを。そして、その糸の先には当の蜘蛛がいて、わしは蜘蛛の巣を払ったつもりが蜘蛛を車内に連れ込んでしまったのだ!!!
そうだ、そうに違いない。
たきがはは慌てて助手席側の窓を全開にして傘を振り回し、蜘蛛を追い出そうとしたが、さすがに走っている車内では至難の業である。というか、やめれ。
しょうがないので、信号で車が止まった時に、ようやく車外に蜘蛛を追い出すことに成功し、蜘蛛の巣も一応、払ったのであった。
蜘蛛にしてみれば、ええところに巣を張ろうとしていたのに、いきなり人間に巣をぶちこわされ、しかも知らない車内に拉致されて、気がついたら閉じ込められて、さぞいい迷惑だったろうと思う。でもね、わしも驚いたんだよ、ほんとに…
ていうか、虫に驚かされるのは、水俣にいた頃に、目が覚めたら、その視線の真っ正面に30cm超の百足がいた時以来かしら… あの時も殺せなくて(大きすぎて、死体を処理するのが嫌だったから)、幸い、窓が近かったので追い出したのでした。
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