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されど平穏な日々

日々のつぶやきと読んだ本と見た映像について気まぐれに語るブログ。Web拍手のメッセージへのレスもここ。「Gガンダム」と「ジャイアントロボ」への熱い語りはオタク度Maxにつき、取り扱い注意! 諸事情により、コメントは管理人が操作しないと反映されません。時々、サイトの更新情報など。

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戦争と人間1

五味川純平著。光文社文庫刊。全9巻。

人間の條件」に引き続き五味川純平ブームです。

とある架空の財閥とそこに関係する人びとの、戦争に翻弄されていくさまと、愛と希望と夢と野心を描く長編。

1巻目は「運命の序曲1、2」を収録です。

この手の歴史物にはつきものですが、80ページにも及ぶ註がボリュームあります。書いたのは作家の澤地久枝さんです。ただ、本編を読みながら読むには原本をそのまま引き写しているのもあって量が多く、後でまとめて読み直したら、何の言葉についた註だったか忘れたという… というか、本編でどういう流れで出たのか忘れたという…
太宰の「実朝」の時も原文の引き写しに辟易しましたが、もうちょっと要約してもらえんかと思いました。まぁ、当時の雰囲気を出すには原文がいちばんいいんでしょうが…
書き手の感想(著者か、註の担当者か)が入っているのはまだおもしろいんですが、原文だけというのは退屈です…

今のところ、まだ満洲国も建設されていないので、先は長いです。あと、基本、梶の足跡を追っていた「人間の條件」に比べると伍代財閥とその関係者以外にも、いろいろな人物が入り交じって登場するので、大河ドラマ〜って感じです。こっちのが。
例によって、こちらも映画化されていて、豪華キャストなので、登場人物を覚えるのに演じた俳優さんを思い浮かべるというのはいい手でした。イメージは固定されますが。

キャストは以下のとおり。これも全3部の大作で、全部で9時間超なので、機会があったら見ます。

伍代由介(当主) 滝沢修(「原爆の子」の岩吉)
伍代喬介(その弟) 芦田伸介
伍代英介(由介の長男) 高橋悦史
伍代由紀子(由介の長女) 浅丘ルリ子
伍代俊介(由介の次男) 中村勘九郎(18代目勘三郎)→北大路欣也
伍代順子(由介の次女) 佐藤萬里→吉永小百合
柘植進太郎(情報部将校) 高橋英樹
灰山浩一(画家) 江原真二郎
お滝(伍代家の女中) 水戸光子
武居弘通(由介の秘書) 波多野憲
鴫田駒次郎(喬介の部下) 三國連太郎
高畠正典(喬介の部下) 高橋幸治
標耕平(兄が伍代家の元雇い人) 吉田次昭→山本圭
服部達夫(奉天の医師) 加藤剛
大塩雷太(長じて喬介の部下) 福崎和宏→辻萬長
梅谷邦(雷太の友人) 廣田治美→和泉雅子
梅谷庄吉(邦の父親。鴫田の部下) 山田禅二
鴻珊子(女スパイ) 岸田今日子
白永祥(喬介の部下。中国共産党員で邦の友人) 山本学
徐在林(朝鮮人。無頼の徒) 地井武男
矢次樵夫(由介の部下) 二谷英明
不破医師(邦の知り合い。服部の友人) 田村高廣
劉(済南の中国人) 大滝秀治

と、ざっとあげただけでもすごい顔ぶれで、演じる人によって、こんなイメージだわ〜と想像できてしまうのが楽しいです。例によって。あんまりイメージおかしくないし。
ただ、わし的には由紀子はけっこうな美人なんで、浅丘ルリ子さんよりも久我美子さんのが凄みあっていいと思うので、勝手に脳内で差し替えてますが。
わし的なお薦めは強盗強姦暗殺と悪いことは何でもござれの悪党・鴫田駒次郎を三國連太郎さんが演じていて、どんなに凄みのある悪役なのかというところと、秀治が劉といういかにも小物っぽい悪役で、興味津々なのと、田村高廣さんや加藤剛さんや高橋幸治さんがイメージまんまに正義感の強いキャラクターばかりで、その清涼感っぷりですvvv

まだ始まったばかりで出て来ていない人物もいるので、先が楽しみです。

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トレブリンカ叛乱 死の収容所で起こったこと 1942−43

サムエル=ヴィレンベルク著。近藤康子訳。みすず書房刊。

タイトルのとおりの内容です。絶滅収容所トレブリンカにいた著者が、そこに移送された経緯からトレブリンカでなぜ生き残ったのか、何をさせられていたのか、そしてトレブリンカで著者たちが起こした叛乱の成り行きと、その後、著者がワルシャワに向かい、両親と再会した後でワルシャワ蜂起に加わり、その敗北までです。

著者のサムエル=ヴィレンベルク氏がトレブリンカに移送されたのは1942年の10月、19歳の時でした。父親は画家でワルシャワ、母親は工場で働いており、著者の姉と妹と同じチェンストホヴァにいましたが、著者だけオパトゥフのゲットーで暮らしていたそうです。

トレブリンカに移送された著者は、そこで幼なじみのアルフレッドと再会し、彼の誘いで特別労務班員となり、7000人のなかで、たった一人、生き延びます。
それからトレブリンカで叛乱が起こった1943年8月までの10ヶ月間、著者は特別労務班員となって生き延びるのです。

著者がトレブリンカから逃走してから40年も経ってから書かれたためか、その記述は冷静なものです。また40年も経ったとは思えないほど詳細でアウシュビッツ・ビルケナウのゾンダーコマンドとはまた違った作業はいろいろな驚きと発見に満ちています。

SHOAH」に登場した人のなかでフランツ=ズーホメルの名前だけ再登場でした。ユダヤ人の金や宝石を扱うゴルトユーデンと呼ばれるユダヤ人たちをまとめていたのがズーホメルだそうです。トレブリンカの話はしてたけど、自分の仕事については話していなかったな、そういや。あと映画の中でトレブリンカで唄わせた歌を唄うシーンがありましたが、その歌詞の日本語訳も掲載。「トレブリンカ賛歌」というそうです。悪趣味なタイトルつけやがりますネ。

アブラハム=ボンバ氏は登場しませんでしたが、似たようなユダヤ人の女性たちの髪を刈る床屋の話はありました。

リヒァルト=グラツァール氏も登場しませんが野戦病院はしょっちゅう言及されてます。特別労務班員も別に命が保証されたわけではなくて、SSやウクライナ兵の気まぐれによって、しょっちゅう補充しなければならなくなったそうです。すなわち、それだけ殺される人が多かったそうです。殺されたユダヤ人たちの遺体は野戦病院に掘られた穴蔵に放り込まれたとか。ナチスが自分たちの罪を隠蔽するためにショベルカーで遺体を掘り出して、念入りに焼いていたとか。

トレブリンカは絶海の孤島ではなく、ポーランドの一寒村です。ワルシャワから北東に100kmぐらいのところにあります。アウシュビッツ・ビルケナウはワルシャワから200km以上離れています。いや、懐かしい。
つまり、トレブリンカにしてもアウシュビッツ・ビルケナウにしても周囲が無人ということはなかったのですよ。ポーランド人の村があった。でも、彼らはそこで何が起こっているかを知りながら、そのために戦ったり、ドイツ兵に抗議をすることはしなかった。ポーランド人はユダヤ人を憎んでいたから、と著者は言います。
そのために、ワルシャワ蜂起(1944年)に加わった著者は、ユダヤ人ということである組織にいられなくなり、別の組織(共産党系)に移らなければなりませんでした。ワルシャワをナチスから解放するための戦いでも行われた人種差別。わしらが想像している以上にユダヤ人を嫌ったり、憎んだりする気持ちはヨーロッパ、特に東ヨーロッパでは根強く、そこに楔のように反ユダヤ人主義を持ち込んだナチスの巧妙さは日本のそれとは全然別物として語られなければならないでしょう。

なかなか良い本だと思いましたが、訳者が敗戦の昭和20年を強調したいあまり、今年(2015年)を昭和90年と書いたのはどうかと思いました。

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人間の條件(下)

五味川純平著。三一書房刊。全3巻。

完結編です。

とうとう梶の部隊はソ連との戦闘に巻き込まれます。しかし、圧倒的な物量をもって攻めてくるソ連軍になすすべもない日本軍は呆気なく敗北、梶の部隊も160名中、わずか4名の生き残りをもって壊滅します。残ったのは寺田、野中に、別の小隊だった山浦です。本来ならば上官である野中が指揮を執るところでしたが、これが優柔不断なおっさんで、あっさり梶に先導され、以後、その不満を抱えながら、それでも自分一人では何もできずについて行きます。寺田と山浦は二等兵なので梶に従い、軍国青年だった寺田は梶に再三、命を救われたこともあり、恩義を感じるようになっていきます。

以後、第5部は全部、第6部も梶たちの逃避行に費やされます。たまに梶を待つ美千子や、召集されずに済んだ沖島も登場します。沖島はあんまり変わってなくて、美千子がだんだんたくましくなっていきます。やっとヒロインらしくなった感じですが、梶にとっては唯一無二の生きる希望であるのは変わりません。

しかし、逃げる途中で梶はいくつもの殺人を犯します。梶は、そもそも心情的には赤軍に共感するところが大きいのですが、捕虜として捕まるのをよしとしないため、それだけ自由を渇望する気持ちを強いため、銃をなかなか手放しません。それは結果として、いままで日本人に虐げられてきたために敵対的になる中国人を殺し、ソ連兵をも殺してしまうのです。そこら辺の自由に執着する感じが仲代のイメージもあってぎらぎらとしてて、はまり役だと思います。ただ、そうすることで梶はだんだんと心情的に追い込められている感じもあり、最終的には匪賊同様にまで堕ちていきます。

結局、梶たちは避難民が集められた集落に到着した後、襲撃しようと包囲した赤軍を撃退しようとして、日本兵が去ったら、残った避難民たちが何をされるかわかったものじゃないという避難民の女性の訴えに、初めて銃を捨て、ソ連軍の捕虜となりました。
ただ、ここでも道理というか、何しろ水に棹さす生き方の梶なので(軍国主義が相手ではしょうがないのですが)、日本軍の階層そのままに捕虜を支配するソ連軍のやり方に最終的には反発し、寺田を殺されたことがきっかけで逃亡します。いっそ、シベリアにでも送られていれば、梶も生きて日本に帰ることができたかもしれませんが、とことん不器用な人です。
とうとう最後は美千子の待つ(と梶が考えていた)老虎嶺(だと思ったどこかの山脈)を前にのたれ死んでしまう梶。

あの時代に人として生きようと思ったら、新城のように逃亡するか、小林多喜二のように殺されるしかなかったのかもしれないと思います。そういう意味では搾取する側に立ち続けて、人としてあろうとする梶のやり方は最初から難しいもので、失敗も見えていたのかもしれない。兵隊にされてからも梶は反発し、逃亡一辺倒の新城を卑怯者と批判して、軍隊に残って人間らしく生きようとしましたが、それらはたいがい徒手空拳で、あんまり効果はあがりませんでした。日本軍というのは世界でも稀に見る人間性を殺す制度なんで、無理もないのですが。ただ、第1部から日本が負けるということを確信している梶と違って、新城はお兄さんが思想犯だというんで世間からつまはじきにされてきた人なんで、逃げるしかないと思い込むに至ったのは、梶のように「卑怯者」と言うのはできないなぁと、ちょっとどころかだいぶ同情して読んでましたが。

だから、梶はずいぶん人間的な人物ではあるのだけれど、その分、中途半端にも見えて、第4部まではそれでも良かったのかもしれないけれど、第5部にいたって、逃げる途中で人を殺すという罪を犯し続けるのは、梶自身の自由への執着がそれだけ強かったんだろうけれど、そうまでして自由でなければならないのかとか、誰かに問いかけて、梶も立ち止まって考えてもらいたかったようにも思いました。
ただ、梶自身は自分を後戻りがきかないところに追い詰めてしまう性格であることは第1部から描かれてきたので、ラスト、梶が美千子と再会してハッピーエンドは想定できないけど、だったらまだ救われるなぁと思いながら読んでいたら、のたれ死にだったので、こうなるしかできなかったのかな、この人はとも思います。待っている美千子が不憫だと思いましたが、器用に立ち回って生き延びる梶に惚れたわけでもないだろうし、こういうラストにしかなりようがないのかと…。

映画でも同じような結末だったのかと、宮口さんの王亭立がどんなだったのか気になる。

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人間の條件(中)

五味川純平著。三一書房刊。全3巻。

第3部と第4部の中巻です。

前巻のラストで召集されてしまった梶の苦悩と苦闘の兵隊暮らしを描きます。

兄が思想犯だというので上司や古参兵に虐められている新城一等兵が佐藤慶さん、梶と同期で嫁と母親の板挟みになってしまう小原二等兵が田中邦衛さん、梶と同じ病室の丹下一等兵が内藤武敏さん(「黄金の日日」の明智光秀)、梶と同期の白戸二等兵が宮部明夫さん(カーク=ダグラスの吹き替えでおなじみ)でした。

第4部になって登場する梶の同級だった影山少尉は佐田啓二さん、お父さんが少佐だっていうんでばりばりの軍国青年・寺田二等兵に川津祐介さん、梶を慕う元大工の鳴戸二等兵に藤田進さん、小野寺兵長に千秋実さん、野中少尉が小林昭二さん(「仮面ライダー」のおやっさん、ジョン=ウェインの吹き替えでおなじみ)、中井二等兵が大木正司さん(「聖戦士ダンバイン」のドレイク=ルフト)、増井一等兵が井川比佐志さんでした。

で、それらの方々の顔を思い浮かべながら、まぁ、半分くらい演技もさせながら読んでいたんで、かなりおもしろかったです。梶の顔も仲代が定着してきたんで、このまま下巻も読みます。で、その勢いで「戦争と人間」も読もうと思います。

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殷周伝説

横山光輝著。全22巻。

Yahoo!で全巻無料だったので読んでみた。

殷の滅亡と周の勃興を太公望を中心にダイナミックに描いた横山先生お得意の中国史漫画。

殷王・紂とその寵姫・妲己の登場から紂王の心変わりや諫めようとする忠臣たちを次々に殺したり幽閉したりする宮廷劇の続く前半に対し、後半は太公望を総司令官に殷に攻め込む周軍の戦いが続く。登場人物も多岐にわたり、妲己がそもそも魔物だったり、あちこちの仙人や道士の弟子たちが表れ、妖術使いも千差万別に出てきて、籠城戦から合戦、陣地戦と毎巻違う展開に最後まで目が離せません。

20年くらい前に読んだ「三国志」は退屈だった覚えがあるんですが、好みが変わったのか、あちらは全60巻と倍以上の長さなんで、このぐらいがちょうどいいのか…

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