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されど平穏な日々

日々のつぶやきと読んだ本と見た映像について気まぐれに語るブログ。Web拍手のメッセージへのレスもここ。「Gガンダム」と「ジャイアントロボ」への熱い語りはオタク度Maxにつき、取り扱い注意! 諸事情により、コメントは管理人が操作しないと反映されません。時々、サイトの更新情報など。

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光の中に

金史良(キム=サリャン)著。〈在日〉文学全集第11巻収録。磯貝治良・黒古一夫編。勉誠出版刊。

「太白山脈」というタイトルの小説が3作あると知りまして、うち2作は読んだんですが、残る1作が戦中、つまり日本の植民地時代の作だって知ったんで俄然、興味が湧いてきましたが、沖縄県立図書館になかったんで、同じ作者の小説を収録したシリーズがあるのがわかったんで、こちらを借りてきましたところ、初っぱなに乗ってたこちらの小説が、たきがはの壺に来まして、単独でレビューです。

東京の下町で貧しい人びとに勉強を教える「わたし」は朝鮮から来た大学生だ。教え子たちのなかに一人、気になる生徒がいて、山田春雄という。妙に「わたし」に絡む春雄が、町で鼻つまみ者として知られる半兵衛と貞順の子と知って、「わたし」は春雄がいじけている理由を知る。「わたし」とつき合ううちに次第に春雄は子どもらしい素直さを見せるようになっていくのだった。

第10回の芥川賞候補にもなったそうですが、まぁ、そこはどっちでもいいんで。

最初は子どもらしくなく、かわいげのない春雄が、意図的にではないにしても朝鮮人であることを隠してしまった「わたし」に絡むようになるうちに、その理由がだんだん明かされまして、と同時に、どうしようもない駄目親父で町の鼻つまみ者として知られる父親もまた朝鮮人との混血であることもわかりまして、母親の貞順は両親ともに朝鮮人っぽいんですけど、酌婦の暮らしから金で救い上げてくれた春雄の父親に感謝していて、これがどうしようもないDV親父であるにも関わらず、そのたった一度の恩のために別れないでいる。そんな両親の姿がまた春雄をいじけさせるわけで、それは内鮮一体とかきれい事をほざきながら、朝鮮人への差別感満載だった日本の姿そのものでもあるわけで、ひがんで育った春雄が、「わたし」と触れあううちに、「舞踊家になりたい」と夢を打ち明けるまでになり、甘えるように身を寄せるとまでいく過程がしみじみと、ほんとにしみじみと心にしみました。
その一方できれい事に終わらず、「彼がどうこれから豹変するかは知らない。寧ろ又私を立ち所に裏切るには違いない」と、いじけきった春雄の心が、そう簡単には癒されないこともわかっている、そのリアルさが、また良かったと思います。

調べたら、青空文庫にも入っているようなんで落としておこうと思ったんですが、いよいよあいぽんちゃんがWi-Fiにもつなげなくなってきまして(無料のみならず、我が家の携帯でテザリングも認識しないため)、そろそろ本気でおしゃかになりそうなんで、どうなりますか…。

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No More 731 日本軍細菌戦部隊

15年戦争と日本の医学医療研究会編。文理閣刊。

サブタイトルは「医学者・医師たちの良心をかけた究明」で、さらに表紙に「繰り返すまい! 医学者・医師たちの戦争犯罪」とありますが、僕たち、頑張って究明したよという意識のが先に立ってしまって、肝心の突っ込みはぬるいように思いました。
と言うのも、初っぱなで常石敬一が書いていたので、その時点で怪しさ100%増し(当社比)になったので、そういう粗ばかり目についたからです。わしにとって常石敬一というのはそういう判断をする作家です。
医学者たちの組織犯罪」にて犠牲者3000人を何の断りもなしに2000人に縮小した時点で堕すべき歴史修正主義者に成り下がってます。もしも誤植なら、とんでもない誤りです。修正するべきです。それをしていない時点で常石敬一が歴史修正主義者であるという判断は揺るぎません。

その常石のはわずか4ページ足らずの小論ですが、突っ込みどころは2点。「かつて731部隊という鬼の集団がいて、ひどいことをしていました。戦争は恐いですね」ということで731部隊員を鬼として切って捨てることはできないと言っておきながら、その後の別の奴の文中に部隊長の石井四郎一人を悪魔のような描写をし、あまつさえ「石井四郎だけでも罪を償っておれば、わが国民がこれほどみじめな気持ちにならなくてすんだものと思うと切り捨てるわけです。
おいおい、この本のスタンス、どっちだよ。それじゃ、まるでヒトラー一人を大悪党に仕立てて、ほかのナチスは従っただけってのと同じだろ。そうじゃないでしょ。始めたのは石井四郎だとしても、そこに乗っかったのが731の医師たちだろ。戦争のため、お国のためと言い訳して、敗戦後もむしろ人体実験で得た知見をもとに戦犯を免罪され、ミドリ十字とか興し、京大の学長にまでなった奴だっていたじゃん。石井一人が裁かれたとしても、それで安心してんじゃないよ。みじめな気持ちとかふざけたことぬかしてんじゃないよ。だからいつまでも十五年戦争についての反省ができないんだよ馬鹿じゃねぇの。どこが良心をかけた究明なんだか教えてもらいたいわ。

ってわけで、常石に続いてケチがついたので、サブタイトルに反して、絶対にこいつら、同じ状況になったら平気で同じ言い訳して繰り返すよと確信しました。

んで、その後、2つほどはすっ飛ばして(全部読んだけど特に突っ込みどころがないという点で)731部隊が撒いたペスト菌がどんな「成果」をあげたのかという論文の最後で、「PX(ペスト菌)撒布作戦の初回に、在満日本人14名が犠牲になっていることは注目すべきである」というのを読んだ時に、海外で何か大きな事件や事故があっても、日本人の犠牲者がいないとわかった途端に扱いが小さくなるマスコミの報道を思い出して、ああ、これって日本人特有の考え方なのかもなぁと思いました。日本人関係なきゃ、どんな大事故も大事件もどうでもいいような、そういう根性がこういうところにもさくっと顔を出すのだなぁと。

あと、この手の歴史関係を読む時にわしはたいがい突っ込むんですが、敗戦を終戦と言う奴はろくでなしばかりだと確信しました。だからといって敗戦と言ったとしても駄目な奴は駄目ですが。

またずーっとすっ飛ばして第三部の「731部隊とワクチンメーカー製造元」という論文中に「誰一人として「自ら犯した過ちの記録」を後世に残すことは考えなかっただろう。また日本はそんな文化を持たない」というところを読んだ時には本気でこの国滅びろと思いました。

また731部隊員ではなかったけど、直接の上司であった遠藤三郎を扱った論文は二言目には「陸軍のエリート」とか言ってて鼻につきまして、やっとこ最後の方に来たのに、このまま本を放り投げようかと思ったくらいでした。しかも言うに事欠いて「性格はやさしく、人から殴られたことはあっても、自分は他人を殴ったこともない」と自叙伝での回想を何の批判もなく引用し、以後、敗戦後、平和主義者になったという遠藤を強調したがるんですが、そのわりにゃあ、日米安保条約に反対したとか、日本の再軍備に反対したという経歴はWikiにも見当たらず、大した平和主義ではないなぁと思います。だいたい自分の自叙伝で「手も付けられない腕白者」とか「乱暴者」とかなかなか書かないでしょうからねぇ… 真に受ける方がどうかしてますわ。
まぁ、何本も遠藤三郎について著作があるようなので、自画自賛の域に入ってるんでしょう。馬鹿じゃねぇの。
ついでに言えば、盧溝橋事件は日中両軍の衝突じゃなく、中国を侵略したい関東軍の謀略でしょう。そういうところ、端折んじゃないよ。
まだ言うと遠藤三郎が「戦争をすれば、たとえそれが自衛戦争であっても軍人の判断力を狂わせるものであることを実感した」と上でも書いた自叙伝に書いたそうですが、ちょっと待て。近代の日本に自衛戦争など1つもないわ。全部侵略戦争じゃ。阿呆んだら。
しかも日本国は世界に先駆けて武装を放棄し、平和国家に生まれ変わったのであるなんて著者が自画自賛してますが、おいおい、1950年には警察予備隊、1954年には自衛隊できてんだよ。それは完全に無視かよ?
んで極めつけ、侵華日軍第731部隊罪証陳列館に著者が行って、遠藤の写真を見て「「自分は今もこの場所で、あの戦争を指導した過ちを反省している」と内外の訪問者に語りかけているようにも思われた」なんて言って、何妄想に浸ってんの? おつむ、湧いてない?
最晩年の遠藤は「老兵はもはや消へ去るのみ」とどっかのマッカーサーまんまな挨拶をしたそうですが、その輝かしい理想はなおも力強く日本人の心に生きていると筆者は信じたいとか、勝手に信じてれば。そんな日本人どこにおんねん。

と最後は間接的にと言いつつも、石井四郎の上司だったんでだいぶ密接な繋がりはあったんですけど、遠藤三郎賛歌と言いたくなるような論文で占めまして、どこが「医学者・医師たちの良心をかけた究明」だったのか小一時間と言わず問い詰めたいですわ。

特大の地雷を踏んだ気分なので、次からは目次もちゃんと確認しようと心に誓ったたきがはでした。

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ある弁護士の生涯

布施柑治著。岩波新書刊。

サブタイトルが「布施辰治」とあるように、朴烈裁判で弁護人となった布施辰治弁護士について、息子が書いた本です。途中まで「」の正木ひろし弁護士と勘違いしていましたが、途中で朴烈の弁護をしたことが出てきたんで修正しました。考えてみたら、1944年に首なし事件に関わってた正木弁護士は関東大震災直後の朴烈裁判とは無縁でしたネ。

布施弁護士が死刑廃止論の理由に
判決は被告のなっとくするものでなければ道徳的効果がない。人間は自分が死刑になることをなっとくできないのが原則であるから刑罰として死刑は廃止されるべきだ
というのは、厳罰による抑止論が言われる死刑への賛成論を聞いていると、まだ納得できないでもないなぁと思いましたが、逆に自分を死刑にしろという犯人に対し、今度は逆効果になるのか、それもしょせんは口先だけの威勢だと思ってて、心のなかでは人は皆、死にたがらないものだと思っているのかは不明でしたが…

まぁ、トルストイの弟子を自称するだけあって、いろいろとあるんでしょうけど。

あと「密偵」で主人公のジョンチュルが警官でしたが、そのモデルが実在していたみたいで、その義烈団事件の弁護にも布施弁護士が関わっていて、この人はどっかの自称「朝鮮の友」みたいな似非じゃなくて、本当に朝鮮や台湾のことを案じていたのだろうなぁと思いました。だからって日本のしたことが責められてはいけないとか言いませんけどね!

また、たきがはが親近感を覚えるギロチン団の弁護にも立ったと知ると、布施弁護士が感銘を受けたというこれらテロリストたちの心情、「悲しい涙に泣く多くの人のために彼らをしいたげた奴らに一撃を加える」は、わしも深く共感するところがあるだけに、そうだろうと頷いたところであります。

それと金子文子が自殺したことは「金子文子と朴烈」にも描かれてましたが、その遺骨を引き取って朝鮮の朴家の墓地に埋葬するよう手続きしたのも布施弁護士だと知ると、韓国行った時に寄ってこなかったのをしみじみと後悔するのでした… orz

この本の半分は、そういうわけで布施弁護士の誕生から死までなんですが、後半は布施弁護士が弁護士を懲戒免職された時の裁判を綴っていて、日本が戦争に突入せんとしていたあの時代の司法の無茶苦茶さと、今の時代の共通点を見出して暗澹たる気持ちにさせられます。

岩波新書らしく、コンパクトにまとまった名著です。そういや、「昭和史」が新装版で出ていたけど欲しいなぁ…

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パルチザン日記

アーダ=ゴベッティ著。戸田三三冬解説。堤康徳訳。平凡社20世紀メモリアル刊。

サブタイトルは「イタリア反ファシズムを生きた女性」で、この手の著作としてはもはや古典なんだそうです。そうするとプリーモ=レーヴィも古典なんですかね。

しかし、読み始めて、すぐに思ったのは、わしはパルチザンというと、まず「太白山脈」の南労党や「石の花」の旧ユーゴを思い浮かべるもので、それらのパルチザンたちはフィクションという括りはありますが、それでもイタリアのパルチザンはえらい恵まれているんだなぁということでした。

まず、イタリアの場合、1943年の9月には枢軸国の同盟から抜けて連合国に降伏してます。その後、ドイツが北イタリアを占領し、亡命したムッソリーニを据えて通称、サロ共和国を造ったことでイタリアではパルチザンの活動が始まり、この本もその時期に合致しているんですけど、イタリア人のなかにはムッソリーニのファシスト党が政権を握ってから、ずっと反ファシストの行動をとっている人たちがいて、大多数の国民の理解が得やすく、イタリア人自身の意識もファシストよりも連合国への共感が強かったので、孤独な戦いを強いられ、飢えと凍傷に悩まされた南労党や、ナチスに協力するウスタシというファシストや、ファシストとの戦いよりも共産党との戦いを優先する王党派といった同国民同士の戦いも経ねばならなかった旧ユーゴに比べると、格段に協力者は多く、間違っても飢えることもなく、だったのです。

確かにドイツという敵はいたし、ファシストもいた。でも、楽ではないし、殺された人も少なくないのに、イタリアのパルチザンに未来は明るかったんだろうなぁと。

そんなことを思いながら読んでいたので、ヨーロッパのものはしばらくいいかなぁと思いました。

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朝鮮史

旗田巍著。岩波全書刊。

1950年発行と大変古い本ですが、読みたい本のリストに入っていたので借りてきました。年表や索引を入れても300ページ足らずの薄い本でしたが、古代から朝鮮戦争勃発までの歴史が総括的に読めて大変おもしろかったです。

わしも一応、高校の時は世界史を選択していたので新羅・百済・任那の三国時代、高麗ぐらいまでは知っていたんですけど、李氏朝鮮の時代になると世界史って比重ががぜんヨーロッパに傾くんですよね。14世紀のルネサンスとかその後の絶対王政とか派手だからね。せいぜい中国が明から清を扱うぐらいで朝鮮はその端でほとんど扱いもないのです。んで借りてきたわけです。

ただ、発行が古いせいか旧漢字だったので判読に苦労した箇所も多々ありましたが、そこは文脈で乗り切りました。しかし、旧の旧漢字が「」だったとは初めて知りましたよ! あと、党の旧漢字が「」ってのが意外と手こずりました。当と當は沖縄では一般的なんですぐに当たりがついたんですが…

日英同盟が結ばれた経緯が「イギリスは日本を極東におけるイギリス帝國の助手に採用し」ってところは吹きました。いや、助手かよ… そう思うと今はアメちゃんの助手を嬉々としてやってるわけで日本人の言う誇りとか大和魂なんてのは吹〜け〜ば飛ぶよ〜な〜♪ではありませんけど軽いものなんだなぁと思いまして、そういう日本って国がわしは大嫌いです。
つまり、その後の歴史で国際連盟の脱退とか日独伊三国同盟とかアメリカとの開戦とか、全部、かつての主人だったイギリスにも喧嘩売ってるわけで、それで勝てると思ってんのか馬鹿野郎と思いました。

また三・一運動以降、激しく日本の支配に抵抗した朝鮮の民衆でしたが、「大韓獨立というスローガンは擧族的願望としては有効であったが、朝鮮人の生活問題に卽した内容をもたなかったために、運動が失敗して後は民衆を動かす力とならず」のところは、なるほどと目から鱗でした。

ただ、時代が時代だけに従軍慰安婦や朝鮮人強制徴用の問題が載っておらず、済州島四・三事件の被害者もそうとう少ないのは事実が知られていなかったのだからしょうがないと思いますが、朝鮮人民共和國が「1946年には解消してしまった」というのは頂けないと思いました。アメリカが認めずに退けたんだよ!!!

それ以外はとても勉強になったです。

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