五味川純平著。全9巻。光文社文庫刊。
満州事変と5・15事件を中心に描く第3巻です。
由紀子がだんだん魅力的な女性ではなくなってきました。金持ちの美貌の娘という属性だけになってきて、家庭に収まるでもなし、もっと派手な活躍をするでなし。浅丘ルリ子の配役のままでいいかと思ってきた(爆)
俊介は中学生(現在の高校生)になりましたが、まだ青いです。ただ、兄のだらしなさと友人の厳しさなどを見ているので、真っ直ぐな青年に育っています。
白英祥は雷太に共産党員であることを見破られ(中国語もわかるため)、伍代を離れます。ゲリラに合流しますが、圧倒的な戦力を持つ日本軍にかなわず、敗走を続けてる感じです。徐在林が一緒に行動していましたが、朝鮮人というコンプレックスとか、父と兄を日本に殺されたという恨みから暴力に走りやすいこともあり、仲間内で孤立、一緒に行動していた女性を殺してしまったためにゲリラを去りますが、今後がどうなるか気になるところです。
鴫田は相変わらずですが、自分で手を下すことが減ったせいか、あんまり魅力がなくなってきたような…。
資料の丸写しが多いドキュメンタリー的な部分はつまらなく、小説部分はおもしろい。極端な話だなぁと思いました。歴史上の事件も、もっと自分の文章で書いてくれるとおもしろいんですが、どうも資料を写すことが多くて、つまらないです。あと、今回は5・15事件の註が凄く長くて、これがまた退屈…。ドキュメンタリー読みたいんじゃないんで、小説読みたいんで、そこら辺が合わないなぁと思う次第。船戸さんはどんな事件でも自分の小説の中に組み込んでいたんで、それがおもしろかったんですがね。
[0回]
PR