内田樹著。文春文庫刊。
密林のレビューで本を買ったのは久しぶりか、初めてかもしれません。ちゅうか、まともな本読むのも久しぶりなのは、趣味に堂々と「読書」とか書く人間としてどうよな師走です。
タイトルこそ「判ってくれない」ですが、どうしてどうして、わかってくれないと言う相手は何を考えているのか、著者はわかりやすい言葉で踏み込んでゆきます。こういう思想系の本で、小難しい専門用語を並べず、かといって、性急に結論を出すでなく、解き明かされるいろいろな現代の様相。しかし、その根底に流れているのは「弱い敵との共存」という、とかく右翼系の、愛国者を名乗る方々が忘れがちな態度だと感じました。
そうだ。世界にはいろんな人がいる。そのすべてがわしにとって愉快な隣人であるはずはないし、かといって、世界中を愉快な隣人だけで埋め尽くすことなんてできやしない。
そう言われてみれば、わしもずいぶんと偏狭な考え方に凝り固まっていたような気がします。
ほかにも、思わず手を打ちたくなるような意見の宝庫です。これは何回も読み直さないと損な気がしました。
中でも、精神年齢の算出法というのが出色でして、現代の人間の実年齢に5/8をかけると、精神年齢が出るんだそうな。あ〜、なるほど、たきがは、そうなると、まだぴちぴち(←死語)の20代ですわ。みたいな。
熱く戦争を語ってはいけない
正論を信じない理由
「嫌いなこと」を言葉にできない人に未来はない
動物園の平和を嘉す
日本人であることの「ねじれ」など。
わしも、こんな風な軽妙洒脱な文章が書けるようになりたいもんだなぁと思いました。
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