フランツ=カフカ著。原田義人訳。青空文庫刊。
またしても未完のカフカの長編です。というか、この人、完成している作品のが少ないんじゃないかと思えてきました。
城が支配する閉鎖的な田舎に行った土地測量技師のKが、仕事も始められないままにその土地独特の風習に翻弄され、例によって女性とだらだらしゃべっている話でした。
招聘されて行ったはずなのに、村長には「断った」と言われ、何の仕事もしてないのに直接の上司(しかし顔を見ることもできないという不合理さ)に「よくやった」と褒められ、一晩だけのゆきずりの女と婚約し(でもふられ)、役に立つんだか立たないんだかわからぬ助手を押しつけられ、でもタイトルの城には決して行かず(半分は行けず)、雪の降る、いかにも寒々しい村のなかで振り回される主人公は「
審判」と似てなくもありませんでした(本題外れて女が長話というあたりも)。
ただ、途中の過程はすっ飛ばしても一応、主人公の死という形で決着をつけた「審判」と異なり、この話、どこが決着点なんだかわからぬだらだらぶりで、とりあえずカフカは全部落としてみたけど、もういいやというのが正直なところです。
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