レフ=トルストイ著。菊池寛訳。青空文庫刊。
馬鹿のイワンが陥れようとする悪魔を逆にやりこめる話。もともとはロシアの民話に登場するキャラクターで、トルストイが小説にしたようです。
兄が2人いて、シモン、タラスというのですが、シモンは明らかにロシア系じゃない名前だと思っていたら、菊池寛の訳の問題でセミョーンというロシアっぽい名前が一般的なようです(シモンはフランス系だと思っていたら、ギリシア系だそうです)。なので兄2人は外国人、イワンをロシア人に例えた諷刺話かと思っていたら、それは深読みのしすぎだった模様。
ただ、愚直に働くイワンは、ロシア人の大多数を占めたであろう農夫そのもので、最後には軍人のシモン(セミョーン)でもなく、商人のタラスでもなく、イワンが残るというのは、やっぱり庶民なんだろうなぁと思いました。
イワンの奥さんがもともとはお姫様なのに、イワンが「王様なんかやってられない」と言って農民に戻るのを一緒についていくという展開が痛快。
「戦争と平和」なんかより、ずっといいと思いました。
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