マイクル=ムアコック著。峯岸久訳。ハヤカワ文庫刊。
「エルリック」シリーズや「コルム」シリーズ、「永遠のチャンピオン」などで有名なムアコックのSFです。前からタイトルだけ知っていて、どんなものか興味はあったんですが、実はエルリックとかコルムは読んだけどあんまりおもしろくなかったんで、まぁ、期待は半分以下というところです。
悩める神秘主義者カール=グロガウアーはキリストの最期に興味を抱いてタイムマシンに乗るが、それは西暦29年のエルサレムの近くに不時着し、グロガウアーは二度と元の時代に戻れなくなってしまう。預言者ヨハネを初めとするエッセネ派に助けられたグロガウアーは、やがてナザレに赴き、当のイエスに会うが、その姿は彼の想像とはかけ離れていた…。
裏表紙の粗筋が「キリストの生涯に異常なまでの執着を抱いていた」とあったんですけど、わしにはとてもそうは思えませんでした。それよりもグロガウアーがしょっちゅうマスターベーションしてたんで、おまえはどこの村上春樹だよという突っ込みの方がががが… というか、この人の書く主人公って何でみんなこうなんでしょ…
話はグロガウアー自身が西暦29年に飛ぶまでを、わりと断片的に挟み、29年当時のグロガウアーと並行して進みますが、落ちは最初に書かれてるんで、最後は全然驚きもしませんでした。「百億の昼と千億の夜」のイエスの方がよっぽど驚いたよ、わしゃ… というか、あれでユダを済ませるのは納得がいかない。
あと、クリスチャン的にはこういうイエス像(グロガウアーに非ず)はありなのか…
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