大田昌秀編。藤原書店刊。
法的根拠もないままに鉄血勤皇隊などとして戦場に引っ張り出され、多くの犠牲を出した沖縄師範学校男子部の生徒さんたちの生き残りの方々の手記です。何度か同じようなテーマで出版されていたのを2016年に改めて再編して出版し直したようです。
鉄血勤皇師範隊は、千早隊、斬込隊(菊水隊)、野戦築城隊、特別編成中隊と主に4つに分けられ、それぞれが情報・宣伝、斬込、壕掘り、雑多な任務を受け持たされました。なにしろ戦前〜戦中の教育を受けているので言っていることは勇ましかったりしますが、写真で見ると、わりと米兵に囚われた時のが多かったりしましたが、その大きさが半分くらいしかない、まさに少年たちばかりで、そういう年端もいかない子どもたちを戦場に送り込むことの愚は、見るだけでわかるのでした。
また、学校長や牛島満司令官への思慕とか、尊敬がことあるごとに語られたりしているんですが、わしは牛島と長勇が自決した6月23日以降も散発的な抵抗が続いたことを知っているので、中途半端に、また自分だけ勝手に自決して戦争から一抜けた牛島の優しさなんてものは、それこそクソで、何の役にも立ってないどころか、むしろ害悪でさえあると思いました。別にその分、長を評価もしませんが、大田さんのように日本が無条件降伏をした後もまだ捕虜になっていなかったのを見ると牛島の優しさなんてものはただのごまかしだけだと思います。
わりと後方のひめゆり部隊を初めとする女学生の悲劇ばかりが目立つ沖縄戦ですが、男子学生の悲劇というのも同等に語られていかなければいけないんだなぁと実感を新たにしました。同時に、彼らの死を無駄にしないいちばんの方法は、やはり同じような悲劇を繰り返さないために教育がとても大事だと思いましたが、今の日本はそういう意味でも逆方向に向かっているので、2016年という出版は、その時代の潮流に逆らう意味もあったのだろうと感じました。
編者の大田昌秀さんが千早隊に所属していたということで分量が千早隊はやたらに多かったんですが、大田さんの手記はえらい読みづらかったです…
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