河出書房刊。
仲良しのことりが死んでしまい、その亡骸をきれいな箱に入れて持ち歩くくま。森の住人たちは、くまにことりのことは忘れなきゃと言うが、くまは悲しみのあまり、うちに引きこもってしまう。ある日、とてもいい天気に久しぶりに外に出たくまは、奇妙な形の箱を持ったやまねこと出会う。箱の中身を見せてほしいとくまが頼むと、やまねこはくまの箱の中を見せてくれたら、と答える。中に入っていたことりを見たやまねこは、くまがことりをとても大切な友だちだと思っていて、死んでしまったことを寂しがっているのだと言う。くまとことりのためにバイオリンを奏でるやまねこ。その調べにくまは、ことりと過ごした日々を思い出すのだった。
たきがは号泣。
まるきり、くまとことりは、たきがはとまいちゃんであります。昨日の朝が今日の朝になるように、ずっとずっとこの日々が続くものだと疑わなかったわし自身のようです。それなのに、今日、君が死んでしまうなどと、露ほども思わなかった。はむこさんの寿命はせいぜい3年、格別に長生きしても7年は破格の歳月です。そのことをわしは知らなかったわけではない。覚悟のなかったはずがないのに、その覚悟のなかった自分がいる。まいちゃんのいないことが、今も寂しくてしょうがない自分がいることに気づかされてしまったのです。
ラスト、くまはやまねこの誘いを受けて旅立ちます。くまとやまねこ音楽団となって、世界中を旅していると結ばれます。
でも、わしは、まだくまのようになれず、ましてや、誰かを失った悲しみを秘めたやまねこに遙かに及ばないと思わされた一作でありました。
モノクロのイラストも効果的。
[0回]
PR