監督:ジャック=ペラン、ジャック=クルーゾー
ナビゲーター:宮沢りえ
見たところ:ワーナーマイカル茅ヶ崎
「
WATARIDORI」のスタッフがまたやってくれました。今度はタイトルどおり、海が主題です。前回、CGを使わずに見せてくれた渡り鳥の渡りと同様、今回もほぼ生の海の映像です。
海が持つ生物の多様性と豊かな世界を臨場感あふれる映像で描く。
登場する生き物はパンフレットで紹介されているものだけで79種、紹介されていないものも含めれば、いったいどれだけになるのか想像もつきません。それぐらい、海には生き物があふれています。その中には、我々の生活のなかで身近な鰯から、絶滅危惧種に指定されたというジンベイザメまで大小様々、多種多様な生き物がいるのです。
「
WATARIDORI」の時もそうでしたが、それらの映像をCGなしで撮りきったスタッフの熱意に敬意を表します。地に足の着いた映画作りが未だになされているのは、ハリウッドのCG映画が全盛の時代に、1映画ファンとして喜ばしいことです。昔から映画には浮ついたところを見せないフランスらしい映画とも言えます。
そして、「
WATARIDORI」よりもはっきりしているのは、この大洋を守らなければならないというメッセージです。海には生き物があふれ、多様性に満ちているけれど、そこにも人間の侵略の手は伸び、生物の多様性に危機が迫っています。さらに、作中ではただ鰭を取るためだけに人間に狩られ、なすすべもなく海に捨てられる鮫や、網にかかって逃げられずに死んだ海亀や海豹の姿なども描きます(鮫についてはロボットであることがパンフレットに記載されていました。そして、映画の終わりでは明確に「この映画を撮るために生き物は殺していない」と断っています)。でも、そうした事故は日常茶飯事に起きていると思います。そして鮫の件も現実にあることだと思います。
海はそうした人間の身勝手さに耐えてきました。生き物たちがあげる声は人間たちには届きませんでした。
けれど、地球温暖化はもはやそんな海をのっぴきならないところまで追い詰めています。その前からも、人間はどれだけの生き物を滅ぼしてきたというのか。いつになったらその過ちに気づき、命を守ろうと行動を起こすことができるのか。
この映画ではそういうメッセージを声高に叫んだりはしません。でも、見た人の心の中に確実に、その願いが伝わっていけばよい、そんなことを思いました。
お子様価格が500円と格安です。次代を担う子どもたちに今からそういうことを考えて行動するようになってほしいという監督や製作の方たちのメッセージなのだと思います。
たんぽこ通信 映画五十音リスト
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