年に一度の誕生日ですし、話題にもなってますんで、ちょっと贅沢ですが、見に行きました。
リー・イン監督。
見たところ:シネ・アンジェリカ(旧シネマ・ソサエティ)
靖国神社に奉納する靖国刀と呼ばれる日本刀を鍛える刀鍛冶さんをメインに、靖国神社にまつわるお参りする人びとの様子や、靖国神社に「英霊」として祀られている人の遺族がその取下げを求める話とか、けっこう淡々としたドキュメンタリーなもんで、一部の国会議員やネット右翼が騒いでいるような反日とは無縁でござんす。ちゅうか、こういう地味な映画には凄い宣伝効果になったんじゃないでしょうか。この映画を「反日」などとほざいている連中には観客を集めたという点では逆効果になったんじゃないかと思います。だって映画ってやっぱり観客来て、話題になってなんぼってところがあるじゃないですか。まぁ、観客100万人集めた映画と1万人しか集められなかった映画を単純に比べられるものではありませんが、シネコンでかかる映画と単館でしかかからない映画のはっきり区分けされている今の時代、単館でしかかからないとはいえ、このような映画が話題を集めるのは稀だと思います。「蝶の舌」のように口コミで広がる映画もありますが、「靖国」の場合は、この映画を気に入らないとする連中が逆に広めてしまったのは皮肉な話ですな。いくらやるなと圧力かけたって、今の時代にそんな映画への圧力なんて論外ってもんですからね。あと、この映画を上映するなって騒いでいる人びとは本当に見てるんでしょうか? 靖国賛成派と反対派、どちらにも偏ることなく扱われ、監督の主張を声高に語ることもありませんし、今の時代の靖国神社についてかなり正確に語られた映画なんじゃないかと思いますよ。
ただですね、靖国賛成派の語る「お国のために亡くなった英霊たちを祀るのは当然」という意見はいい加減、聞き飽きました。246万の「英霊」が靖国神社には祀られているそうですが、そこに含まれていない広島や長崎の何十万もの犠牲者、東京大空襲での何万もの犠牲者、日本軍がアジア各地で殺した何百万という犠牲者をあなたたちはどう考えるのでしょう。「お国のため」という美辞麗句の名のもとに殺された人びとを祀らぬ靖国神社のみに、一国の首相がこだわることはやはり間違っていると思います。
それと、ラスト、敗戦60周年の日の集会に、小泉首相の靖国神社参拝反対を唱えて乗り込んだ2人の若者を暴力でもって追い出すシーンがありましたが、中年のおっさん、「中国に帰れ」ってしか言わないのはあまりに語彙が不足しててすごくみっともなかったです。馬鹿の一つ覚えで「中国に帰れ」ってたまにはもっと気の利いたことを言ってもらえませんかね、とか思って見てましたんで、そういうお馬鹿さん加減を映したのを「反日」と仰るのであれば、あれは確かに日本の恥部だな〜と思ったりしました。
いよいよ遊就館、見に行きましょうかね。
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