監督・脚本:黒木和雄
出演:日高康夫(柄本佑)、宮脇なつ(小田エリカ)、日高重徳(原田芳雄)、美也子(牧瀬里穂)、宮脇イネ(石田えり)、豊島一等兵(香川照之)、日高しげ(左時枝)、秀行(寺島進)、はる(中島ひろ子)、世津子(平岩紙)、宮脇実(倉貫匡弘)、石嶺波(山口このみ)、ほか
2003年、日本
黒木監督の「戦争レクイエム三部作」の一本です。ほかは「
明日 tomorrow」と「
父と暮らせば」。
1945年8月の宮崎県キリシマ。学徒動員から肺浸潤のために帰郷した日高康夫は、目の前で級友が死んだことにショックを受け、無気力な生活を送っていて、元軍人の祖父から非国民呼ばわりされることもあった。広島に新型爆弾が落とされ、沖縄も失って、本土決戦を叫ぶ軍は宮崎県の海岸からアメリカ軍が上陸するとにらみ、訓練に余念がなく、住民たちも竹槍訓練に精を出していたが、その上空を我が物顔でグラマンが飛んでいくのに手を出せない。康夫と仲のいい、日高家の下働きのなつは戦死した父と家に母と弟を残していたが、その母は軍需物資の横流しと引き換えに兵隊と情事を重ね、実は康夫を襲うこともあった…。
登場人物が多くて、康夫が一応主人公なんで比重を置いて語られるんですが、話はあちこちに飛ぶもんで散漫なイメージが残りました。おそらく話は広島に原爆を落とされた8月7日から始まると思うんですが、それから康夫の話があったり、なつの母の情事があったり、はるの見合いとか、日高家は地主なんで軍の協力して物資を与えているシーンがあったりしているうちに話の中では何日も経ってそうなのに、実際は広島〜長崎って3日しかないのに、その話が出るのは半分過ぎてからだったり、まぁ、なんとも散漫な印象がぬぐえず… 1945年8月ですから、終着点は15日なのはわかりきってます。でもそこに至るまでが長く、なんかもうちっと登場人物をしぼった方が良かったのではないかと思うのですが…
タイトルが「美しい夏キリシマ」なんで、人間の醜さと対照的な自然の美しさを描きたかったのなら、問題はないのですが、「戦争レクイエム」と言うには、どの人物もあんまり戦時中に見えず… 日高家なんかいいもの食ってるし… まぁ、地主だからってせいもあるんだろうけど、グラマン飛んでるわりに軍人も緊張感のカケラもないし… そこらの雰囲気の悪さものめり込めなかった原因かも。
たんぽこ通信 映画五十音リスト
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