監督:エリア=カザン
出演:テリー(マーロン=ブランド)、イディ(エヴァ・マリー=セイント)、バリー牧師(カール=マルデン)、ジョニー=フレンドリー(リー・J=コップ)、ほか
波止場を牛耳るマフィア、ジョニー=フレンドリーの悪事を証言しようとしたジョーイが殺された。そのきっかけを知らずに作ってしまった港湾労働者のテリーは、ジョーイの妹で大学に通うイディと知り合い、惹かれるようになっていく。だが、自分に不利な証言をしようとする者を殺すジョニーの暴力に港湾労働者はおびえており、テリーもその一人であった。
マーロン=ブランド主演の社会派映画。ちょっとジョニーのキャラクターがステレオ・タイプの嫌いはありますが、組合を乗っ取り、港湾労働者から絞れるだけ絞り、仕事を牛耳るジョニー対労働者一同、という構図はエンターテイメント性よりも社会性のが高いと思いました。
主人公のテリーは今でこそ港湾労働者の一員で、ジョニーの気分ひとつで仕事の有無さえ左右される不安定な身分ですが、元はボクサーで、しかもジョニーの賭けがきっかけで負け、身を持ち崩したという設定があります。で、作中では、最初の方で金を数えられなくて「数えられるのは10カウントだけだろう」とからかわれてしまうぐらい、何も考えていなかったテリーが、ジョーイの死のきっかけを自分が作ってしまったことから、さらにジョーイの妹イディの出現で揺らぎ始め、戦う牧師バリーの助言もあり、と次第にジョニーと戦う急先鋒になっていく様、ラスト、血まみれになったテリーが「テリーが行かなければ誰も働かない」という港湾労働者の台詞により、よれよれになって埠頭に向かうシーンなど、マーロン=ブランド氏の体当たりの演技とも言え、ここら辺はなかなかエンターテイメント性が高いなぁとも思いました。
ただ、たきがは的には、当初、警察に協力することを、たとえ殺人犯でも「たれ込み反対」なテリーが、イディにあって、だんだんそういう考え方を変えていくところだけでガキっぽさというか、ものがわかってないという面はおなかいっぱいになっているのに、それに輪をかけてテリーの親衛隊みたいなゴールデン・ウォリアーズというガキんちょがいて、クライマックスでジョニーに不利な証言をしたテリーを「たれ込みの報復だ」とか言っちゃうガキっぽさは、もう食い過ぎで見るのも嫌って感じだったので、そこら辺、省いても良かったのになぁと思わなくもなかったです。それでテリーの可愛がっていた鳩まで殺しちゃうんだぜ〜 その報復、支払わせ過ぎじゃんというのもあり。
しかし、「
ウェストサイド物語」のレビューでも書きましたが、この映画が本当にあぶり出したいのもテリー対ジョニーではなくて、労働者とそれを食い物にする資産家ではないのかとも思えたので、テリーは改心したからめでたしなんだけど、そうではない子どもたちがいて、全然、テリーのことも理解してなくて、という問題提示をしたかったのかなとも思うのですが、展開としては腹一杯でした。まぁ、イディとのデートがくどかったというのも否定しませんけど。
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