監督:原一男
見たところ:横浜シネマジャック
1994年、日本
「ゆきゆきて神軍」という一回見たら、忘れられないドキュメンタリー映画がありまして、シネマジャックでその監督の特集をやってます(5月14日まで)。で、「ゆきゆきて神軍」は見るのは決定なんですが、どうせですから、見たこともないのも見ようと思いまして、全部で5本しか撮っていない寡作な監督なんですが、ここで以前の映画馬鹿ならば、どうせなら全部見るぜ!とか言いかねないんですけど、まぁ、たきがはもプー太郎だし、ラインナップ見て、そこまで食指が動いたのがこれだけだったんで、2本にしときました。以前は食指が動かない映画も見てみようと思ったんですけど、最近はそこまで映画馬鹿じゃなくなったので、興味がないのはやめたのでした。
1992年に癌で亡くなった小説家、井上光晴さんの最期の3年くらいを追ったドキュメンタリー。
井上光晴ってどんな小説書いていたっけ? それとも詩人だっけ?とか言ってる時点でこの映画を見るにあたっての基礎知識が決定的に欠けてるような気もしましたが、唯一、「TOMORROW 明日」という映画の原作だそうで、つながりはそこだけでした。この映画から連想できるように、長崎県出身の作家さんです。
映画は1989年から1992年に亡くなるまでの三年間ですが、あいだに井上さんに関わった人びと(前半は圧倒的に女性が多かった)へのインタビューも挟み、文学について、小説について語る作家を映します。さらに中盤から少年時代の思い出って感じでイメージ映像が挟まり、ところが、これが虚構だというのが親戚や同級生によって明らかにされていくのです。なんていうの、「井上光晴」という小説家を演じたとでも言いましょうか。自伝に書かれた年譜がことごとく事実と異なる。でも、当人はその年譜とか自分の体験と称して講演してるんだけど、関係者に確認すると全然違うと言う。そこら辺がタイトルの「全身小説家」なのかな〜と思いました。
ただ、中盤のイメージ映像で久々に舟を漕ぎかけて、ちょっとやばかったです。井上氏を賛美する人びとのインタビューとかイメージ映像が散漫な印象でした。イメージなんてなくても問題なくて、やたらに長いなぁと思いました。
たんぽこ通信 映画五十音リスト
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