李連傑主演の黄飛鴻(ウォン=フェイフォン)シリーズ3部作の1作目です。
フーがまだ弟子じゃなかったり、イー叔母がイギリスから帰ってきたばっかりだったり、といろいろありますが、残る2作に比べると展開がハードなのも特徴かと。なにしろ小悪党のくせに沙河のチンピラがえらくしつこく、イー叔母は犯されそうになるわ、顔は焼かれそうになるわとはらはらの展開続き。しかも道場は焼かれるわ、最後はウォン師匠を目の敵にするマン提督に捕まっちゃって、でも西洋文明にかぶれたっぽい提督に、こっそり反旗を翻した官兵に逃がしてもらえるのに「法を犯すわけにはいかない」とかってお堅いこと言ってんじゃねぇよぉ!!!とか思って見てました。まぁ、結局、駆けつけたソーによってイー叔母が危ないと報せられたので脱獄を決意するわけなんですが、このイー叔母とウォン師匠の、親戚で、しかもイー叔母のが目上で、でも相思相愛で、でも中国の慣習なんかもあってそういちゃつくこともできなくて、という関係は3作目までもやもやさせられます。
そして、最初から最後まで小悪党として頑張った沙河のボスは、最後はイー叔母をボイラーの火で顔を炙ろうとしていたところを、同様に囚われていた女性たちの加勢でボイラーに落されて、悪党らしい最後を遂げたのはあっぱれでした。
そういや、こういう自分は本当は戦う気はないんだけど、なぜかいつも戦いの渦中にいるキャラクターって誰かに似てるなぁと思ったら「
あばれ天童」でした。「天童」の時はキザ男が好きだったんですけどね!
実在の人物である黄飛鴻師匠は、主演映画が100作以上も作られたという点でギネスに載った人物です。わりと細身の李連傑よりも、1枚残ってる写真はずっと骨太そうな武闘家然とした人物でした。
それにしてもラストバトル、師匠に加勢するという弟子2人に対し、自分だけで十分と言ってのけたウォン師匠は、その後のイム師匠の猛攻を柳のように受け流し、また適確に反撃するとあって、大変格好良うございました。しかも、いちいち長袍の裾を邪魔にならないように払うのも、ポーズを取るのも、いちいち格好いいです。
そしてガイもウェンもイー叔母を探せず、ソーとフーが頑張ったのは、本来の一番弟子である(らしい)フーに配慮した演出なんでしょうかね?
世は太平天国の乱も真っ最中で千々に乱れ、列強に食い物にされる清朝中国は不平等条約に苦しみ、この後、100年近く(1851〜1948年)も独立国としての矜恃を保つこともできない長い苦しい時代に入ります。ヤクザな中国人から横柄な欧米人までばったばったと打ち倒すウォン師匠は、一服の清涼剤のようでさえありました。
そういえば、イム師匠を演じたのが誰か調べたくていろいろググっていたら、李連傑も「笑傲江湖」の令狐冲を演じたことがあって興味湧いてきましたが、この方のは香港時代は特に見逃しが多いのでチェックが大変… (´・ω・`)
たんぽこ通信 映画五十音リスト
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