金庸著。小島瑞紀訳。岡崎由美監修。徳間書店刊。全7巻。
とうとう読み始めた「機動武闘伝Gガンダム」の数々の命名の元ネタ小説です。そういや、著者の金庸氏は、つい先日、訃報に接したばかり、改めて冥福をお祈りするとともに豊潤な中華武林の世界を堪能しております。
サブタイトルは「殺戮の序曲」というわけで、福建省福州で用心棒稼業を営む福威鏢局の若旦那・林平之(りん=へいし)が一門を皆殺しにされ、両親を生け捕りにされて、その犯人、青城派を追いかけるところから始まり、武林のなかでも特に有力な五嶽剣派の1つ衡山派の有力者、劉正風の引退式に潜り込み、主人公である令狐冲の活躍、劉正風の引退の真の目的に気づき、それを止めようとして惨劇を巻き起こす嵩山派の弟子たちと劉正風との今後の因縁なんかを描きます。
名のある登場人物がこの巻だけで数十人と出てきて、そのうちの十何人かは殺されちゃったりしてますが、まぁ、おおむねサブタイトルに相応しく、並々ならぬ今後の波乱を予感させる出だしで、おもしろかったです。殺伐とした話ばかりでなくて、純真な尼僧の儀琳が語る令狐冲と悪漢、田伯光との息詰まるやりとりや戦い、九死に一生を得た令狐冲を介抱する儀琳のけなげさとか、もう英雄好漢に美男美女、悪役も多才で入り乱れ、登場人物が多いわりに混乱しないのは描写の見事さと言っていいでしょう。
それに加えて武林正派の仇敵・魔教の党首が
東方不敗とか言われたら、主人公そっちのけでどんなキャラクターか興味津々になるってものじゃないですか。いや〜、笑傲江湖(ウォルターガンダム)も出てきたことだし、そのうちに天剣絶刀(ガンダムヘブンズソード)や獅王双覇(グランドガンダム)まで出てくるんじゃないかとわくわくが止まりません。
登場人物のなかでは「癇癪がきついけど、慈悲深い心の持ち主」と紹介されてる定逸師太がけっこう良かったんですが、劉正風との親交も厚いけど、魔教の長老でもある曲洋がどんな人物かも興味津々。何より東方不敗の出番はまだか。
さくさくと読み進めたいと思います。
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