辺見庸著。毎日新聞社刊。
2001年の同時多発テロ後に「サンデー毎日」で連載されていたエッセイ集です。テーマは様々なんですが、やはり時代を反映して小泉政権やブッシュ政権の悪辣さを罵らずにいられない憤りみたいなものが全面に溢れています。負け犬の遠吠えと言われても何かを言わずにいられない、その心情に大いに共感できるところであり、この時代の小泉を知っているからこそ、今になって脱原発とか言い出した小泉を信頼するわけにはいかないと思うのです。そう言えば、たいがいの人が賛成せずにいられない耳に心地いい言葉の裏で何を企んでいるのか、何を隠そうとしているのか疑わずにいられません。たとえあの当時のことを反省しての脱原発だとしても、まず、そのことを総括してからじゃないかと思わずにいられないのです。
内容が古びたとはいえ、なかなか興味深い一冊でした。ただ、やっぱり読むのが遅かったと言わざるを得ません。
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