監督:シドニー=ルメット
原作:アガサ=クリスティ
出演:エルキュール=ポワロ(アルバート=フィニー)、ビアンキ(マーティン=バルサム)、ラチェット(リチャード=ウィドマーク)、秘書マクイーン(アンソニー=パーキンス)、執事ベドウズ(ジョン=ギールグッド)、アーバスノット大佐(ショーン=コネリー)、メアリー=デベナム(ヴァネッサ=レッドグレイブ)、ドラゴミノフ公爵夫人(ウェンディ=ヒラー)、そのメイド・シュミット(レイチェル=ロバーツ)、ハバード夫人(ローレン=バコール)、グレタ=オルソン(イングリッド=バーグマン)、アンドレニイ伯爵(マイケル=ヨーク)、その妻・エレナ(ジャクリーン=ビセット)、ハードマン(コリン=ブレイクリー)、フォスカレリ(デニス=クイリー)、車掌ピエール(ジャン・ピエール=カッセル)、コンスタンティン医師(ジョージ=クールリス)、ほか
見たところ:シネプレックス平塚
イギリス、1974年
「新・午前十時の映画祭」の1作品です。過去にテレビで見たことがあったんですが、せっかく映画館で見られるので行ってきました。この時代までの映画にはそういうパワーがあったなぁ…
1930年のアメリカ。富豪アームストロング家の娘デイジーが誘拐され、死体で発見されるという事件があった。それから5年後、イスタンブール発ロンドン行きのオリエント急行に乗車した名探偵エルキュール=ポワロは、アメリカ人の富豪ラチェットが「殺す」と脅迫されているのでボディガードを依頼されるが、ラチェットの性格が気に入らないので断る。しかし、ベオグラードを発った列車はその夜、大雪のために停車することになり、朝になるとラチェットも殺されていた。人里離れた郊外で外は大雪のため、犯人が逃亡した気配はない。犯人はポワロと同じ車両に乗っているのだ…。
オープニングのアームストロング家の幼女誘拐殺人事件とオリエント急行で行われた殺人事件以外は徹頭徹尾明るい雰囲気の映画で、とても人が殺された、しかも10ヶ所以上も刺されて殺された事件があったとは思えないような感じですが、これはオールスターキャストのため、敢えて陽気さを心がけて撮られたそうです。まあ、公開当時は怒っちゃった観客もいたそうですが、なにしろ明るいです。ラストなんか、犯人たちが乾杯しあってるし、もう悪人やっつけてめでたしめでたしって勧善懲悪っぽい終わり方です。
これは、クリスティの原作が今風に「なぜデイジー=アームストロングは殺されたのか」というのを追求するような社会派的なものではなくて、エルキュール=ポワロの活躍を描くという意図があるからなのかなぁと思いましたが、そこは深読みしすぎかもしれません(原作の着想は飛行家リンドバーグの愛児誘拐殺人事件による。「
翼よ! あれが巴里の灯だ」の方)。
落ちはわかってるんで、そこに至るまでの流れ、ポワロの推理や乗客たちへの尋問、個々の乗客たちの個性とかを楽しみました。イングリッド=バーグマンは「ガス燈」を彷彿とさせる思い詰めちゃう感じの演技が良かったのですが、「カサブランカ」とか「誰がために鐘は鳴る」を見た後だと誰だかわからなかったな昔は… ローレン=バコールさんは「
ラスト・シューティスト」のしっとりした演技じゃなくて、やたらに陽気で浮かれた感じでしたが、それもこれも娘と孫娘を失った裏返しかと思うとまた味わい深く… ショーン=コネリーが出てたのは知らなかったけど若い頃は粗野な感じだなとか、ポワロの嫌らしさが強調されまくってるなぁとか、期待どおりにおもしろい映画でした。
ポワロ物はあと「ナイル殺人事件」を見たぐらいです。たきがはは面食いなのでホームズ派なのですよ。
たんぽこ通信 映画五十音リスト
[0回]
PR