山本周五郎著。角川春樹事務所刊。
「樅ノ木は残った」「柳橋物語」「赤ひげ診療譚」などで知られる作家・山本周五郎の戦時中の日記。1945年2月までで、執筆活動に励む傍ら、だんだん厳しくなっていく本土空襲や日常の事々を綴ったもの。しかし、「作家として良い作品を残すことが使命」と語る作者らしく、インタビューや対談などは極端に少ないという周五郎氏。良くない作品の出版は拒否するという厳しさを考えたら、このような日記を残したことは不本意だったかもしれないし、直木賞の唯一の辞退者なのに、今の時代に山本周五郎賞というのがあることも噴飯やるかたないかもしれないと思わなくもない。
[0回]
PR