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されど平穏な日々

日々のつぶやきと読んだ本と見た映像について気まぐれに語るブログ。Web拍手のメッセージへのレスもここ。「Gガンダム」と「ジャイアントロボ」への熱い語りはオタク度Maxにつき、取り扱い注意! 諸事情により、コメントは管理人が操作しないと反映されません。時々、サイトの更新情報など。

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黄色い星の子供たち

監督・脚本:ローズ=ボッシュ
出演:アネット=モノ(メラニー=ロラン)、シェインバウム医師(ジャン=レノ)、ほか
2010年、フランス・ドイツ・ハンガリー
見たところ:横浜シネマ・ジャック&ベティ

たきがはこだわりのジャンル、ホロコーストものですが、これについてはすでに「灰の記憶(リンク先はレビュー)」と「聖なる嘘つき(同)」という二大傑作を数えているので、そろそろこだわらなくてもいいかもな〜なんて思い始めました。

公開中の映画につき、続きは下へ。
1942年、ペタン政権下のフランス。ドイツの命令でパリ市内のユダヤ人2万3000人が一斉に検挙され、真夏のヴェル・ディブ(冬季競輪場)に閉じ込められる。看護学校を卒業したばかりのアネット=モノは赤十字からの派遣でヴェル・ディブでの看護に加えられるが、そこで起きていることを大勢の者に知られることを嫌がったナチスのため、たった一人のユダヤ人医師シェインバウムと、数名の看護婦以外には、希望者は皆、断られるような状況で、水も食料もなく放置されたユダヤ人たちは、だんだん弱り、死んでいった。その後、ユダヤ人たちはフランス国内の強制収容所に移送されるが、生存者はわずか20数名である。

タイトルが「子供たち」となってて、子供たちが主人公だったりするんでしょうが、どっちかというとアネットの視点が圧倒的に多くて、このタイトル、安易に横文字つけなかったのは評価してもいいけど、話の中身とはそれほど合ってないのが残念です。

さらに言えば、フランス映画というのはわしは「ヘッドライト(リンク先はレビュー)」に代表されるように、割とクールなイメージが強いもんで(ハリウッドみたいにセンチメンタルに流されるんじゃなくて)まず序盤のユダヤ人検挙のシーンで悲しめの音楽が流れたところで「あれ?」と思い、その後もいかにも「この話は哀しいんですよ〜」と言わんばかりに音楽が流れるたびにしら〜っとしてきておりました。
たきがははあちこちで書いておりますが、声高に自己主張したり、感動の押し売りをする映画音楽が大嫌いであります。特にどれとは言いませんが。誰とも言いませんが…言ってるレビューもありますが。

そして、主題は「フランスで起こったユダヤ人の一斉検挙と、そこにいた子どもたちの姿」ではないかと思っているんですが、まぁ、本題に入るまでがけっこうだらだらと長く(実際には30分くらいじゃないかとも思うんですが1時間くらいかもしれないし)、まぁ、基本、群像劇のスタイルで一応、アネット(フランス人の目撃者。献身的。実質的な主人公)とジョー(ユダヤ人子供たちの代表格。主人公呼ばわりされており、最後まで生き残るが、主人公らしくなるのは収容所行ってから)が主人公ちゅうか、狂言回しな感じですが、なんちゅうかな、ヴェル・ディブでのシーンにしても、そこに至るまでのパリでの日常のシーンにしても何か長くて、いくつものシーンが同じ比重でもって描かれているから、どうもピントがぼけていて、それを音楽で誤魔化そうとしているようにも感じて、余計にしらけちゃったのでした。
どっかの映画で描きましたが、いくつかのエピソードを等分に入れても、わしの印象には残らず、ここ!というところに重点を置いた方がおもしろいし、良いもんだと思います。

さらにユダヤ人医師のシェインバウム先生。アネットが収容所で「ユダヤ人と同じ食事をする」と言って、知事に「8kg痩せました。栄養失調です」と訴えたり、その前のヴェル・ディブでだって、激務の上、大したご飯も食べてなかろうに、ラストまでぴちぴちのぱちぱち。ぶっちゃけデブでした。おいおいおいおい! フランスが誇る名優なら、「毎日かあさん」の永瀬ぐらいには痩せろよ!と突っ込み。ていうか、着ている服はぼろぼろだけど、皆さん、きれいすぎでしょ。リアルじゃないでしょ。こういう話でそういうポイントが落ちると、あっという間にしらけますよ、観客は。ということで一緒に見ていたままとも「ジャン=レノ太りすぎやろ!」と突っ込んでおりました。重要な役なんですよ、アネットが密かに好意を寄せているし。いい人だし。でも太りすぎ。収容所でご飯が足りないなんて誰も信じません。絶対に裏でご飯、倍は食ってます。収容所に何週間もいたなら、もっと痩せてるやろ!

あと、ジョーの両親が、長女が「早く逃げよう」と言っているのに、全然根拠のない楽観主義で「まさか殺されるはずがない」とパリに残り、ジョー以外は帰らぬ人になってしまったのは、当時のユダヤ人には典型的な姿ですが、今の日本人とどう違うのって思ったり。

ノノという男の子は可愛かったんですが、最後、自主的に逃げたジョーだけじゃなく、ノノまで助かってアネットと再会するのはできすぎだろうと思うし。

ヒトラーとかヒムラー、エヴァ=ブラウンまで登場したのは、フランスとナチスの陰謀ってのを強調したいのか、でも、ユダヤ人の一斉検挙ってだけでナチスの意志が働いているのはわかりきってることなんだから、そんなもの蛇足な気もするし、そもそもフランス人として、監督が当時のフランス政府のやったことをナチスを出すことで少しでも軽くしたいようにも受け取れるし、フランス政府の高官の話し合いなんて、まぁ、しょっちゅう場面が転換するもので、これまた散漫な印象になっております。ぶっちゃけヒトラーなんか出なくても全然問題ないはず。エヴァ=ブラウンなんかもってのほか。

なんちゅうか、監督が集めたエピソードを出来るだけ詰め込もうとして、却って散漫な印象になった感じです。
でも、ポーランドとかの絶滅収容所の証言を読んだり見たりしていると、フランスの場合はこれでもまだまだぬるいというか甘いって感じもしてしまいまして(間違ってもラジオなんか聞かせてもらえないし)、もうちっと対象(ユダヤ人も当時のフランス人もフランス政府もナチスも)を突き放して、クールなところから見ないと、センチメンタルに流された映画になっておりました。撮っている監督やスタッフが「いい話や〜」と感動していては観客はしらけるばかりですわ。

ヴェル・ディブでの消防士さんたちの献身もいい話だとは思うけど、フランス人の罪滅ぼしにしかなってないし。
ただ、いちばん掘り下げてほしいジョーのキャラクターが、収容所からの脱走を考える辺りまでは、まったく浅く、ただの男の子だったりするもんで、最後に生き延びていたのも、運が良かったねぐらいな感じで、なにしろ、物足りない映画でした。ユダヤ人でもなく、この映画のように家族が引き裂かれることも追われることもないわし(いつどーなるかもわかりませんが)が、こういう感想を抱くのは間違いだという向きがあるかもしれませんが、こんな映画を見るよりももっといい映画はいくらでもあるんだぜと言いたい。
冒頭にも書きましたが「灰の記憶」と「聖なる嘘つき」は二大お奨めホロコーストものです。あとは「ショアー(リンク先はショート版のレビュー)」とか「夜と霧(リンク先はレビュー)」とか。

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