監督:和泉聖治
出演:杉下右京(水谷豊)、亀山薫(寺脇康文)、御厨元首相(平幹二郎)、片山雛子(木村佳乃)、瀬戸内法務大臣(津川雅彦)、木佐原(西田敏行)、塩屋和範(柏原崇)、ほか
テレビでかかったんで見てみました。本編に入るまでに、いろいろと鬱陶しいフィルムが流れたのはファンサービスのつもりなんでしょうが、単に映画が見たいだけのこちらには蛇足でした。とっとと本編入れっちゅう。
「相棒」は以前、わしの父が好きなんでスペシャル版をつき合って見たことがありますが、そこそこおもろいなぁと思いました。ただ、なにしろたきがは、連続ドラマのたぐいは見る習慣がありませんので、テレビ版も全く見ておりません。その時は、年末年始のスペシャル版だったと思うんですが、立てこもったテロリストの人質にされた聾唖の少女と右京が手話で話すというネタがけっこう新鮮でおもしろいなぁと思いました。すかした右京のキャラも、知的な感じで悪くありませんし、対する薫が体力派というのも互いにないところを補い合うというコンビでいいなと思いましたが、連続ドラマを見るほどには至らず、ましてや劇場まで金払って見に行く気はさらさらありませんでした。
片山雛子議員が脅迫されている。特命課にその護衛任務が命じられるが、襲撃された現場に居合わせた右京は、連続殺人事件であることに気づく。警視庁に勤める同僚から闇サイトの存在を知った特命課、そこに名を挙げられた人びとが処刑の対象とされ、実際に殺されている。そうとわかった時、現場に残された文字からチェスの記譜だと気づいた右京は、犯人とメールでチェスを対戦し、その本当の目的が東京ビッグシティマラソンにあることを知る。徐々に浮かび上がってくる犯人像、右京たちは15万のランナーと観衆を守ることができるのか?
タイトルにも書いてあるから、マラソンが標的なのはわかってるんですが、そこに至るまでの推理とチェスをからめた筋は見事であります。右京や薫の彼女が「ビッグシティマラソンに参加するんだ〜」と言ってるところに、どう事件をからめていくのか、そこらへんの推理とかはなかなかわくわくして見てました。
しかし、肝心のマラソンに入ると、トーンダウン、犯人の目的が実はマラソンではなかった、という辺りから、怪しげな方向へ。この劇中での事件、実際に海外で起きた邦人人質事件に題材を取っているものと思われるのだが、この時、TV朝日が取った行動はこの映画で代弁してるような、偉そうに言えたものだったか?
あと、ラスト、片山雛子に華持たせるのはどうか?
犯人の目的がマラソンで大勢の観衆を殺すわけではなかった、という動機からはラストがすっきりと終わらないのはしょうがないのかもしれないが、最後がだらだらとした印象。さらに犯人の娘が死んだ兄の分もあるのかもしれないが、海外に旅立つというのはできすぎだよな〜と思っていたら、本当にそれで幕を下ろすとは思わなかったよ! いや、そんなことに興味あったんすか、彼女? 兄貴やその友人(彼の死もまた謎が多いのだが、何かあっさり自殺させて口を閉ざさせてしまったし)の志を継ぎたいと思うには、それまでの行動に動機が希薄すぎると思うんですが?
テレビの人気に便乗して映画に進出ってのが見え見えなんですが、映画らしくスケール大きくしてみたけど、最後はこぢんまりって終わり方が、映画としてはどうよ、な感じでした。真犯人もいまさらな感もあったし。
全体の8割ぐらいまで(右京の指示で薫が東京をかけずり回るところ)はおもしろく見てたのに、最後で詰め込みすぎたっていうか。ちょっと欲張りすぎて消化不良っていうか。
たんぽこ通信 映画五十音リスト
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