ハヤカワ文庫。マリオン・ジマー・ブラッドリー著。岩原明子訳。
ブラッドリーといったら「ダーコーヴァ年代記」シリーズが大変好きでした。たしか、大学時代。友だちに借りて、それからせっせと創元推理文庫を買い集めたもんさ。途中で全部手放したけど、いちばん好きだったのは「ストーム・クイーン」だったかな。遠い未来、とある惑星に不時着した人類が、そのことも忘れたさらに先に地球と出会い、文明の衝突とか、独特の文化を描いたSFでござった。ダーコーヴァと名づけられた惑星の原住民と混血することで、独特の超能力を持った人びとの苦悩とか、活躍とか、戦いとか、おもしろかったんす。「ストーム・クイーン」というのはわりと後発の作で、時代がちょっと古かったんだけど、感情が高ぶると人を殺してしまうほどの雷を操る能力を持った少女とその種違いの兄の話だったかな。誇り高き人びとがその誇りのために他人を許せず、どんどん泥沼にはまっていく、その様がなんちゅうか美しくも悲劇的で好きな話でしたねぇ。
あとは「アヴァロンの霧」というアーサー王伝説をアーサーの腹違いか種違いの姉、モルガンの視点で描いた話もおもしろうござった。ただ1回しか読んでないので細かいところは覚えていない。妖女とも言われるモルガンは強くて、もろくて魅力的なキャラだったんだが、肝心の円卓の騎士が馬鹿ばっかだったような気もするのだが、違ってたらごめんして。
で、「聖なる森の家」だ。表紙をあしべゆうほさんが描いているんだが、代表作「クリスタル・ドラゴン」て確か、同時代じゃなかったっけ? だから、なんか「クリスタル・ドラゴン」を思い出す。でも「クリスタル・ドラゴン」にはグリフィスとかバラーとかソリルとかけっこう魅力的な男性が登場したのだが、「聖なる森の家」の男はどいつもこいつもなんとも格好悪く、なさけない。ヒーローたるガイウスも、主人公エイランの父親、ベンデイギドも、エイランの祖父、大ドルイド僧アルダノスも、どいつもこいつもけつの穴が小さくて、なんちゅうか、そこらへんがつまらなかった。わし、こういうフェミニズムっちゅうんですか、むき出しの話って駄目だな、と思いました。
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