ウォルター=ラカー編著。窪田幸男ほか訳。柏書房。
700ページ以上の大作。ホロコーストについて、あらゆる事項を網羅していると思われるので事典として引いて、そこから諸々の事項について踏み込んで調べていくのが筋だと思うのだが、読み通した。
最初はまいさんの添い寝とお散歩につき合って読み始めたんだけど、A4サイズとでかい上にハードカバーで重たいので思うように読み進めず、そのうちにまいさんがお亡くなりになったので放置されていたところを、蔵書整理の一環として、急遽最後の100ページほどを読み飛ばす。いいのか、そんな読み方して。この本は事典なので、当然項目単位で記事が挙げられているんだけど、記事の長さがまちまちで、「ワルシャワ」は最後の項目なんだが、10ページもある長編だし、「シンドラーのリスト」で一躍有名になったオスカー=シンドラーにいたっては独自の項目はなく、「映画・テレビ」の中や「諸国民の中の正義の人(非ユダヤ人でユダヤ人救助に助力した人たちに、戦後、イスラエルのヤド・ヴァシェム記念館とイスラエル・ホロコースト博物館で授与したもの。「日本のシンドラー」などと言われて間違った覚えられ方をしている杉原千畝氏も当然その一人)」に名前があるぐらい。杉原千畝氏は項目ある。など、量の差が激しかったりするので、1項目ずつ読もうとしてもなかなか思うとおりにいかなかったり、だいたい、まいさんの添い寝につき合ってた時はこんなにでかい本は読みづらかったり、散歩になると今度は目が離せないので読みふけるわけにもいかなかったりと、さんざんな扱いでうっちゃられていたのだった。
で、たきがはの今回の蔵書整理の主眼としては、「本当に必要な本だけ手元に残すぞ!」だったのだが、幸いなことに太宰治の「人間失格」と「津軽」は青空文庫で読めるので(万歳)、よく見たら、高村光太郎氏も来年に著作権が現法だと切れる(いま、70年に延ばすという改正を進めているらしい。理由は「海外では70年なので、日本の著作者が損をしないように」って、なんか、そういう他力本願つーか、そもそも著作者の権利なんか考えてんのか、われ、な理由ってどうかと思うんですけど)ので、「智恵子抄」も手放してもネットで読めるようになるから、大丈夫みたいだ。でもぜんぜん減らない。石牟礼道子全集は外したくないし、「指輪物語」も「橋のない川」も「シャーロック・ホームズ・シリーズ」も手元に残しておきたいんだが…青空文庫にホームズ先生あったけど、訳者が違うんだよなぁ、ぶつぶつ
閑話休題。
で、たきがはとしてはホロコーストものは見つけたら読む、読めるだけは読む、というスタンスで今後、読んでいこうと思っているので、この本は手放すつもりなのだ。「アウシュヴィッツは終わらない」も売る。
こういう本を読んでいて、残念だなぁと思うのは、ホロコーストについては世界的な共通認識というものがあって、何年か前に「マルコポーロ」という雑誌が「ガス室はなかった」などという阿呆な特集組んで廃刊に追い込まれたのも、「嘘を言ってはいけない」という海外からの圧力だったし、先日、ヒトラーの演説をぐぐっていたら、「我が心のヒトラー」なんていう冗談にしてはきっつすぎるブログかサイトがあって、ドイツでこれをやったら犯罪と読んだので、日本というのは自由と勝手をはき違えてる国だなぁと思ったり、で、何が言いたいのかだんだん論点がずれてきたのでいい加減にするけど、十五年戦争について、いまだに「防衛戦争」だの南京大虐殺の矮小化(最近はさすがにないとは言いづらくなったので、犠牲者数を縮小化する輩が多いそうだ)とか、世界的に認めてもらえないような認識が堂々と大手を振ってまかりとおっていることなのだ。何でも最近は「歴史解釈権」などというけったいな用語も登場して、例によって「大東亜戦争」擁護派が使ってるそうだけど、こういう輩に限って、「十五年戦争は侵略戦争」ということを言うとがたがたうるさいのはすでにわしの「歴史解釈権」を踏みにじってますよ、げらげら、と突っ込むのはお約束ってもんでしょうか。
閑話休題。
最後に「文献解題」とあるけど、残念ながら、というか、当然というか、ほとんど英語。紹介されているのも英語のサイトばかり。ホロコーストはそもそも欧米が舞台なんであっちの方が多いのはしょうがないし、研究したかったら、英語読め、という訳者の気持ちもわからんでもないけど、ホロコーストについて知りたい一般人に、もっと良書を訳してくれないかなぁと思ったりする。
「ホロコースト否定論者」という項目の中で、思わぬ名前を発見してびっくり。ノーム=チョムスキー氏、アメリカとイスラエルを批判するあまり、ホロコースト否定論者まで擁護しなすったんか。って、それはいくらなんでも「坊主憎けりゃ袈裟まで憎い」じゃないけど、節操なさすぎるんじゃ。その視点、かなり危ないんじゃ。いまのイスラエルとホロコーストを一緒くたに語るのはどうかと思う。何年か前の話みたいなんで、いまでもそう思ってるのかなぁ。そういう「味噌もクソも一緒に」する人には見えなかったけどなぁ。
と、さも、日本人であるたきがはが、他人事のようにホロコーストについて語っちゃいけないんだよね。だって、ナチス・ドイツの同盟国だったんだから、日本は。ドイツがヨーロッパで600万殺したなら、日本だってアジアでやっぱり同じくらい、かもっと多く殺してるんだよ。だからこそ、こういう「ホロコースト大事典」のような「十五年戦争大事典」みたいなものがあってほしいし、国際社会に通じる歴史認識があってほしい。そうした過去について反省した上でなければ、やはりホロコーストについてどうこう言うことはできないんじゃないだろうか、といつも思うのだ。
同じ柏書房から731部隊(1ヶ月ほど前から、これを扱った「黒い太陽731」という映画のレビューページへのアクセス数が異常に多くて驚きますた。大して目新しいこと書いてないし、もっとちゃんとしたサイトで情報収集したらいいのに。別に挑発的なこと、書いた覚えないし。「日本でこういう映画を作れないことを恥じろ」とまでは言わなかったはず。って、ここに書いたら、二の舞か? 前にも「愛国心を押しつけないで」という記事で2ちゃんからリンクされて、うちのカウンターがすっごい勢いで廻ったことがあったので、よほど2ちゃんにリンク貼られたのかと思ったんですが、皆さん、Yahoo!とかの検索サイトからなんだよね。ますますわからん。ここ1週間ほどやっと沈静化した。メインでも何でもない記事でアクセス合計の半分以上って絶対に異常だもん)関係の本が出てるんだけど、CD-ROM付で5万円とかするそうで…
5、5まんえん…さすがに買う度胸はなく、さすがのAmazonでも大して安くならないんで、図書館に入れてくれないかなぁと思ってます。
安部の時にやたらに長い記事を書いたんで全部入るか心配しましたが、大丈夫ですた。忍者ブログは文字数の制限はかなり多いらしい。
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