ウラディーミル・クラウディエヴィチ=アルセーニエフ著。長谷川四郎訳。東洋文庫刊。
黒澤明監督の「デルス・ウザーラ」の原作です。
まだロシアだった1907年、シベリアの沿海州で2度目の調査を行った著者に同行したのがゴドリ人(ロシア人の呼び方で自称はナナイ人)の猟師デルス=ウザーラでした。1度目の沿海州の探検で著者に同行しており、2度目の調査にも著者の頼みで同行、その深い知恵と知識で著者の一行をたびたび救いましたが、57歳と高齢で、天然痘で身内を全て失ったためもあり、猟師としての能力(視力)を失い、著者に誘われるままにハバロフスクに移住しますが、あまりに暮らしぶりの違う都会での生活に慣れられず、山に戻ったところで何者か(著者はロシア人ではないかと推測)に殺され、殺された場所に近いコルフォフスカヤ駅の近くに埋葬されますが、著者の3度目の探検ではその墓の場所はすでにわからなくなっていたとか。
わし好みの博物誌的な探検行で、タイガ(シベリアの密林)の様子が詳しく書かれているのがおもしろかったです。
デルス(作中ではデルスウ)も、アニミズムな世界に生きる猟師というのが良い。それだけに視力を失い、猟師として生き続けられなくなり、という終盤の展開は映画と同じでしたが辛いものがありました。猟師としては生きられなくても、その知恵でもって、タイガで生を全うした方が良かったのではないかと思いますが、そこのところはわかりません。
翻訳が満洲の時代に出されたもののようなのはいいんですが、地図もその時のままとは平凡社仕事しろと思いました。
東洋文庫は今さらながらわし好みの本が多いようで、読破してみたいと思いましたが、ちょっと金石範さんの「火山島」が読みたいのだ…
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