ヨハン=ラインハルト著。畔上司訳。二見書房刊。
「
5000年前の男」という本と似たような内容です。たきがはの好きなミイラものです。ただ、「
5000年前の男」では見つかった男性のミイラは自然死だったのですが、こちらは人為的な死、かつて中南米に栄えたインカ帝国が行った人身供儀、つまり生贄ですから、事情はまったく異なります。
インカ帝国という国は、ローマ帝国なみの規模をもって、あの高山地帯に隅々まで行き届いた道路なども造ったかなり発達したところでした。その中で行われたのが6000メートル級以上の山に捧げた人身供儀だったわけです。その理由は様々で、天変地異とかを収めるためというのもあって、インカの生贄に特徴的なのは、10代までの子どもたちが対象になったということでしょう。
タイトルにもなった「氷の少女」というのは、長年、この地で高山に登り、遺跡を発掘してきたアメリカの高地考古学者の著者が、以後、ペルーやアルゼンチンで何体ものそうした人身供儀となった子どもたちのミイラを見つけるきっかけともなった少女のことを指します。なんでもフジモリ大統領時代のことで、日本にも来たそうなんですが、記憶にないなぁ。これだけミイラミイラと騒いでいるわりに、見に行ってないとは…
こういうちょっと変わった歴史物が好きな向きにはたまらん1冊です。
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