お父さんや力本、月梅らの協力で一心はようやく北京に戻り、さらに時が進む第4部です。今までのゆっくりした展開に比べると、めまぐるしい気もしますが、一心が北京に戻ってからがやっと中盤。
内蒙古特有の砂嵐の中で三度目の再会を果たした一心と月梅。月梅は自分の父も反革命分子として自殺してしまったことを告げますが、命の恩人であり、父にも匿名で連絡してくれた恩人でもある月梅を、いつ終わるとも知れぬ自らの冤罪に巻き込むことを恐れた一心は逃げるように砂嵐の中に戻るのでした。
しかし、5年が経ち、一心は突然釈放され、そのことを知った父に北京駅で迎えられます。
よく「母性本能」は話題にされますが、本作のキーワードは絶対に「父性本能」だと思うんすよね。それぐらい、徳志さんの一心へ示す愛情は私心がなく、絶対と言ってもいいほど無償のもので、それが中国でも名優と讃えられる朱旭さんによるものだから、見ているこちらももらい泣きしてしまい、ますます中国のお父さんのが好きになるのでした。
元の職場に戻った一心は、図書係という閑職を押しつけられながら働きます。日本語の勉強も、職場(鋼鉄公司)での翻訳も兼ねて勉強を続けていますが、人事部長に「おまえは日本語ができるだろう」と言われれば必死に否定。というのも、労改にいた時に「毛沢東語録」にひらがなを写したところ、別の囚人の脱走騒ぎからそれが見つかってしまい、日本語だとわかれば、あわや銃殺されるところだったからです。
半年後に月梅と再会した一心は、一年後には結婚します。でその一年後には娘、燕々(えんえん)が生まれまして、また人事部長に呼び出しをくらいます。まぁ、この人事部長、口ぶりはぶっきらぼうですが悪い人ではありません。むしろ、努力家の一心を認めてる感じさえします。
で、結局、一心は党のために働けってんで職場を移動することになり、そこへ日本の父も、会社が日中国交正常化後の中国への進出を狙っているので近々移動することになりそうです。だんだん思い出してきたぞ。この親子、そうとは知らずに現場で喧嘩するんだ。
自分たちの工場を見学に来た日本人に「施設が稚拙だ」と言われて反感を覚える一心。二言目には日本人と言われるので、かなり嫌気がさしている様子ですが、自宅では妻と娘ではっぴーな生活です。
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