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されど平穏な日々

日々のつぶやきと読んだ本と見た映像について気まぐれに語るブログ。Web拍手のメッセージへのレスもここ。「Gガンダム」と「ジャイアントロボ」への熱い語りはオタク度Maxにつき、取り扱い注意! 諸事情により、コメントは管理人が操作しないと反映されません。時々、サイトの更新情報など。

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スパルタカス

監督:スタンリー=キューブリック
出演:スパルタカス(カーク=ダグラス)、バリニア(ジーン=シモンズ)、クラサス(ローレンス=オリビエ)、グラッカス(チャールズ=ロートン)、アントナイナス(トニー=カーチス)、バタイアタス(ピーター=ユスチノフ)、ほか
製作総指揮:カーク=ダグラス

この映画でヒロインを演じたジーン=シモンズさんが亡くなられたというので、その追悼記念。

トラキア人の奴隷の子として生まれたスパルタカスは、ひょんなことからバタイアタスに買われ、剣闘士として育てられる。しかし、自由を求めるスパルタカスは、仲間とともにそこを脱走、ベスビオ山に籠もる。ローマから実力者クラサスの親戚グラブラスが守備隊長としてスパルタカスらを討ちに来るが、戦い慣れた剣闘士たちはこれを返り討ちにする。元老院の執政官グラッカスは、スパルタカスらのもとに集まる奴隷たちが故郷を目指すのを止めまいとするが、クラサスはこれに反対、スパルタカスらをつぶしにかかるのだった。

実際にあったスパルタカスの反乱に材を取ったスペクタクル史劇。8000人を動員してのローマ軍対反乱軍の戦いを描いたクライマックスはただただ圧巻。これぞハリウッド!なスケールに満ちております。

しかし、なんちゅうてもこの映画の魅力はスパルタカスを演じたカーク=ダグラス氏のいちばん色気の乗った頃の充実感や、脇を固めるローレンス=オリビエ氏、チャールズ=ロートン氏、ピーター=ユスチノフ氏、トニー=カーチス氏やジーン=シモンズさんらの堂々たる共演でありましょう。3時間超の大作ながら、ロマンスあり、アクションあり、政治劇あり、剣闘ありと、緩急に富んだ展開も飽きさせません。

粗筋には書いてませんが、本作のヒロイン、バリニアは、スパルタカスと同じ奴隷です。2人の出逢いはバタイアタスの館。バタイアタスの胸先三寸で、これはと思った剣闘士に女の奴隷をあてがったらしく、スパルタカスはバリニアをあてがわれたのでした。しかし、バタイアタスやマーセラスがのぞき見するのにスパルタカスは「俺たちは獣じゃない」と反論、結果的にバリニアは取り上げられてしまったのですが、彼女はこれに短く同意し、以後、食事時ぐらいしかふれあう機会はなかったものの、同じ誇りを持つ同士、2人は惹かれ合っていくのでした。
しかし、奴隷の身の悲しさで、バリニアは、バタイアタスの館に来たクラサスの目にとまり、ローマにつれていかれることになります。
ところが、バタイアタスがでぶだったもので、バリニアは乗っていた馬車から逃亡、これにはバリニアを連れていかれたことを知ったスパルタカスがバタイアタスの館で反乱を起こしたため、バタイアタスがバリニアと2人きりで出かけてしまったせいでもあるのですが、後にスパルタカスと再会できるわけです。
でも、一度見初めたバリニアを、クラサスは狙っており、スパルタカスとの決戦で子どもを産み落としたバリニアを連れ去ります。
ところが、クラサスとは政敵のグラッカスが、単にクラサスの鼻をあかしたいという理由でバリニアをさらうよう、自分のところに逃げてきたバタイアタスに命じ、彼女はグラッカスの出した自由民であるという証明をスパルタカスの息子の分も得て、スパルタカスが何よりも願った自由を手にして、ローマを離れていくのでした。

いや〜、まるでトロイのヘレナみたいな存在ですな。ですが、ヘレナが単にパリスに見初められただけで、当人の意志はさほど重要視されずにトロイとギリシアのあいだで翻弄されるのに対し、バリニアの凛とした美しさはもっと誇り高く、男臭いこの物語の中では女神のように輝いているのでした(名のある女性がバリニアとほか数名)。けれど、スパルタカスの腕のなかではまた乙女のように可憐でもあり、彼がそのために命をかけた自由のために、やはり命をかけられる女性でもあり、バリニアというヒロインの存在感はぬきんでているのであります。

対するスパルタカスも、なんちゅうても演ずるカーク=ダグラス氏が44歳と男盛りです。肌をさらす肉体美の色っぽいこと、また単なる反乱を、自由を求める戦いに転じる知的さといい、むっちゃ格好ええんですわ〜v
そんなスパルタカスですが、ラスト、ローマに負けてしまいます。で、恋敵でもあるクラサスは、スパルタカスと引き替えに、捕虜たちに自由を約束するのですが、アントナイナスを筆頭に皆が「俺がスパルタカスだ」と言って立ち上がり、全員、磔の刑に処されてしまうシーンでは、彼の誇りと信念に皆が共感してくれたのがわかって、涙々となるのでした。
しかも、アントナイナスは元はクラサスの奴隷です。クラサスはアントナイナスとスパルタカスに目をつけ、自分の目の前で決闘させるのでした。勝った方も磔にされるという過酷な場で、スパルタカスを父とも慕うアントナイナスは善戦するんですが、結局、スパルタカスに敗れてしまいます。スパルタカスも、最初は詩人として加わったアントナイナスに目をかけており、息子のように思っていたのでした。

ローマの城門の外に最後に磔にされたスパルタカスと、自由の身となってバタイアタスとともに脱走するバリニアとの再会。スパルタカスが命をかけて望んだ自由を、バリニアと息子が得られたと知り、静かに息を引き取るスパルタカス。涙ながらに去っていくバリニア。いいラストだ〜

改めて、ジーン=シモンズさんのご冥福をお祈りします。

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