ジョン=ハリデイ、ブルース=カミングス著。清水知久訳。岩波書店刊。
「
朝鮮戦争論」の著者ブルース=カミングス氏の1988年の作です。副題に「内戦と干渉」とあります。例によって図書館で借りたんですが、アンダーラインやらの書き込みがひどくて本もぼろぼろでした。
「朝鮮戦争論」でも目から鱗で全然知らなかった朝鮮戦争について深く勉強させてもらいましたが、この本も朝鮮戦争についてかなり公平な視線で書かれていると感じました。
ただ、今回も朝鮮民主主義人民共和国の訳語が「北朝鮮」だったりするように思えるところが多く、「南朝鮮」に対して「北朝鮮」という呼称を使っていたりするのはいいのですが国家として使ってるようなところがあって気になりました。
最近、朝鮮戦争について知れば知るほど確信するのは、アメリカはもしも日本がアメリカに戦争を仕掛けずに朝鮮半島と台湾、もしかしたら満州ぐらいで満足していたら、アメリカの方からわざわざ戦争を仕掛けてこなかったろうし、今も大日本帝国という人類史上最低の国家は存続してたんじゃないかなぁということです。それぐらい、朝鮮に対する差別は酷いです。冷戦がおっぱじまった当初とはいえ、かつて一度も他国を侵略したことのない東アジアの古い国をこれだけ虐げるのはどうしてか、その根本にあるのが朝鮮に対する差別意識と優越感、日本に対する同族意識と見せつつ、都合良く使えるという差別意識もあるんじゃないかとしか思えません。ほんとに。
それだけにラスト「朝鮮は攻撃も干渉も受けずに、平和に、ひとつの国家、ひとつの民族として生きる権利を持っている」という著者の言葉は、侵略した日本人の一人として、その権利などないのだとしても切に願わずにおれません。
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