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されど平穏な日々

日々のつぶやきと読んだ本と見た映像について気まぐれに語るブログ。Web拍手のメッセージへのレスもここ。「Gガンダム」と「ジャイアントロボ」への熱い語りはオタク度Maxにつき、取り扱い注意! 諸事情により、コメントは管理人が操作しないと反映されません。時々、サイトの更新情報など。

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水俣の甘夏

小池征人監督。

水俣病のために船に乗って漁ができなくなり、漁場も奪われた水俣の漁師さんたちは甘夏農家に転職した人も少なくない。もともと水俣は甘夏の産地、条件は揃っていた。しかし、自らの水俣病を教訓とすべく、できるだけ農薬を使わない甘夏を作ろうと試行錯誤を繰り返すが、それは重労働を招くことでもあった。そんな時、互助会の会員の中に様々な理由により、除草剤をまいてしまった人びとがいた。世に「甘夏事件」として知られるそれは、患者支援団体、水俣病センター相思社をも捲き込んだ騒動に発展する。その顛末を追ったドキュメンタリー映画。

最初は、水俣の低農薬甘夏作りを撮ろうとした映画だったのだが、撮影の半ばで上記のような農薬使用事件が発生してしまい、そちらがほとんど。
農薬を抑えた甘夏栽培は人の手を余計に必要とする。摘果、草刈、それらはそうでなくても体力に不安があり、運動失調などの障害を持つ水俣病の患者さんたちには重労働であった。もちろん、中にはそうした手間を惜しまず、重労働に耐えてきた人びともいる。そういう人たちにとってはどんな理由であっても除草剤を使ったことが許せず、会議では厳しい意見を吐く。けれど、話し合いを進めるうちに、いちばん厳しいことを言っていた人が、除草剤を使った過ちを他人事とせず、互助会全体の問題として受け止めるようになっていく。

いまも、水俣にはたくさんの甘夏がたわわに実っている。5月の花の咲く時期から翌年1月の収穫まで、甘夏は1年がかりの作業である。有機栽培がもてはやされ、無農薬・低農薬を売りにする農産物が並ぶ時代、それを作った人のことを思いながら、買う物も選んでいきたいものだなぁと思った。

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