森村誠一著。角川文庫刊。全3巻。
カッパブックスで2冊出版された同書が、731部隊に無関係な写真を載せたということで絶版になり、版を改めて出版された文庫版です。
もう何度も繰り返し読んでいるのですが、何度でも手に取らずにいられない力があります。真実だけが持つ力なのでしょう、もう30年もの長いつき合いです(最初は当然カッパブックス)。
よく覚えていないのですが、たぶん、たきがはのルーツです。その前に「ひめゆりの塔」(映画)見たり、「ふたりのイーダ」(小説)読んだり、「はだしのゲン」(漫画)や「アンネの日記」(完全版以前)読んだりしてますが、わしがはっきりと旧日本軍の戦争犯罪に興味を持ち、同じ系列として本多勝一氏の「中国への旅」などを読むようになり、昭和天皇ヒロヒトを戦争犯罪者だと認識するようになったのは、おそらく、これがきっかけだと思います。というか、こういうのって、普通は覚えてるもんなんでしょうけど、わしの場合、あんまりそういう自覚を持つ前に、ごく自然に南京大虐殺とかの本を読み始めていたものでルーツについてよく考えてなかったのでした。
まぁ、そういう話は置いておきまして、やはり日本人全てが読むべきドキュメンタリーでありましょう。旧日本軍が医学の名の下に犯した人類史上許さざる犯罪。人間として唾棄すべき発想。そうしたことが真摯に事実に向き合う筆者の姿勢と、勇気をもって証言した関係者、現地での取材や莫大なアメリカに残された証言などを通して露わになっていきます。
恐ろしいのは、「国のため」と称して、自らの罪を逃れようとする小市民な感覚であり、許せないのは、その実績をもって戦後、大手の製薬会社などに勤務したりして、社会的地位を得ているということです。薬害エイズもこの延長なのは、あまりに有名な事実。
何度でも繰り返し読みたい名著。
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