船戸与一著。集英社文庫刊。上下巻。
船戸与一氏の最高傑作。
世界の辺境での事件の取り込み方のうまさ、主人公の成長を描いたビルドゥングス・ロマン、ハードボイルド小説、冒険小説。船戸与一氏が得意とする血と硝煙と破壊の全てが詰まっていて、しかもそれらが最高におもしろいのだ。
私的にいちばん好きな船戸小説は「山猫の夏」であるが、船戸与一の最高傑作としてお奨めしたいのはこの小説である。
ハードボイルド好きならば読め。
血と硝煙を読みたいならば読め。
世界の辺境で何が起こっているのか知りたいならば読め。
なんか、ごちゃごちゃ粗筋を書いても却って、この小説に泥をかけそうなだけな気がするので、読めとだけ書いておしまい。
ただ、解説にも書かれているけど、レイモンド=チャンドラー系のハードボイルドが好きな向きにはお奨めしない。というか、チャンドラーをハードボイルドと思い込んでいる向きにはお奨めできない。本物のハードボイルドが読みたい方に。
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