監督:ジョージ=クルーニー
出演:エドワード=R=マロー(デヴィッド=ストラザーン)、フレッド=フレンドリー(ジョージ=クルーニー)、ほか
やなみきさん大好きデヴィッド=ストラザーン氏の主演映画です。日本ではクルーニーのが知名度があるので、クルーニー監督と、アカデミー賞6部門ノミネートばかりがクローズアップされてましたが、主演はデヴィッド=ストラザーン氏です。
アメリカをマッカーシズムの恐怖が吹き荒れていた1950年代。第2次世界大戦のロンドン空襲の実況で国民的なジャーナリストとなったエドワード=R=マローは、マイロ=ロドゥロヴィッチが空軍をくびになったという小さな記事がきっかけで、マッカーシズムの旗手、ジョセフ=マッカーシー上院議員と対決する。マッカーシー自身の失脚により、マローはこの戦いに勝利を収めるが、テレビは彼の望んだ方向とは逆、娯楽と逃避のための番組作りが中心になっていった。
舞台の90%がCBS内なので、セット代はかかってないと見た。こういうの何ていうんでしたっけ。密室劇? 室内劇?
マッカーシズムはアメリカばかりか、日本でも赤狩りとして吹き荒れ、もちろんハリウッドも無傷ではいませんでした。チャールズ=チャップリンが赤狩りのために追われたし、ジェームズ=スチュワートだったかも被害に遭ったんじゃなかったかな。
だから、あの時代を知る人にとって、白黒の抑えた脚本で描かれるこの映画は、すごく切実で、クライマックスと言うにはあまりに静かなマローの勝利も、拍手喝采で見たところなんかあるんじゃなかろーかと思います。
その上、特典ディスクとかで見られるマローに、デヴィッド=ストラザーン氏がよく似てる(もっとハンサムだったりする)! しかもチェーンスモーカーだったマローよろしく、映ってるシーンではほぼ煙草から手を離さず、白黒でわかんないけど、マローが好きだったという赤いサスペンダーもつけてるなど、なりきり方がますますマロー。クルーニー曰く「デヴィッドがいなかったら、この映画はあり得なかった」とインタビューで語ってましたが、確かに、これだけの配役を見せられてしまうと、代役なんて考えられんほどです。
じゃあ、この映画がノスタルジーをもってしか見られないのかと言うとさにあらず、放送ジャーナリズムの先駆けとなったマローにとって、テレビというのは重要な媒体であり、人びとを導くものでなければならなかった。問題を提起し、考えさせるものでなければならなかった。「テレビが娯楽と逃避の道具でしかないならば、ただの箱」とまで言い切ったマローにとって、続く1960年代にやってきたテレビ番組の娯楽化は決して許せるものではなかったはず。でも、これっていまの日本にも共通してますでしょ? ニュース番組でさえ、娯楽化、エンターテイメント化してません? 政府とか警察の発表を垂れ流すだけの宣伝番組となってません?
だけど、エド=マローはそういうことを嫌ったわけです。メディアが権力に迎合してはならない。メディアは人びとを教導しなければならない。そういう信念で動いていた。
ところが、そういう態度はマローのジャーナリストとしての生命を縮めた。マッカーシーとの対決でさえ、無傷ではいられなかった。
硬派な社会派映画を見せてもらいました。
ところで、特典ディスクにも本編ディスクにもキャストのプロフィールもなんも載ってないんですが、ぜひつけてもらいたいです。この人、いいな〜と思っても、プロフィールとかないと捜しづらい。わしはわりと主題から映画を見る方ですが、キャストに興味を持った時に、ほかにどんな映画に出てるのかな〜という参考にさせてもらいます。ま、今の時代、インターネットとかで捜せばいいという話もあるかもしれませんが、そこまで能動的になかなか検索もしないんで、ぜひ、ご検討よろしう。
たんぽこ通信 映画五十音リスト
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