ETV特集。YouTubeより。
TLで流れてきたので見ました。
永山則夫氏の著作は1冊も読んだことがないのですが、その生い立ちや事件のあらましはだいたい知っています。ただ、この番組の中で語られていたのは、わしなんかの想像を遙かに超えるような貧困とか子どもの虐待とかで、見ていて辛かったです。
でも、いちばん悔しかったのは、一審の判決で永山氏の精神鑑定が否定された時、裁判官ばかりでなく本人も否定したことに精神鑑定を行った石川先生がショックを受けて、二度と精神鑑定を引き受けなかったというところでした。
すでに自分の罪を自覚し、被害者遺族の方々に償いの方法を模索していた永山氏にとって、自分の罪を少しでも軽くするような精神鑑定を簡単に肯定するわけにはいかなかったんだよ! 精神鑑定の専門家が、なんでわしのような素人でも思いつくような理由を思いつかないのか不思議です。永山氏はそこに逃げ込めなかったんだよ、でもそのことを教えてくれた石川先生にどれだけ感謝していたか、そこを察してよ!
ラスト、永山氏が死刑を執行されてから、石川先生の精神鑑定書が遺品として石川先生の手に渡ります。そこに施された修繕の痕や、表紙にビニールのカバーをかけたところ、内部の書き込みや線引きから、永山氏の本心に気づく石川先生。「自分が精神鑑定の道に進まず、精神病の治療に進んだことに悔いはない」と言いますが、当時の日本でPTSDについて記述した鑑定書などはなかったわけで、その点においても最先端を行っていた石川先生が精神鑑定の道に進んでいたら、日本の司法もあるいは変わっていたかもしれないと思うと、それはやっぱり大きな損失だったと思うのです。
そして、本心を理解されないまま刑死した永山氏にとっても、どれだけ苦しいことではなかったのかと思うと、その無念さにやりきれない思いが残るのでした。
今度、永山氏の著作も読んでみようと思います。
削除されないうちに是非。
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